コンテナ洗浄装置とは、原料や製品の搬送・保管に使用したコンテナ、容器、ボックスなどを、自動または半自動で洗浄する設備です。
容器内部や外面に残った粉体、粒体、液体などを除去し、次回使用時の品種混入、異物混入、衛生上のリスクを低減します。人手による洗浄を機械化することで、作業負担の軽減、洗浄時間の短縮、洗浄品質の均一化にもつながります。
ハカルプラスでは、コンテナの形状や重量、付着物の性質、洗浄方法、前後工程の搬送条件に応じて、搬送、固定、反転、洗浄、水切り、安全制御を組み合わせた装置を設計します。
コンテナ洗浄装置の基本構成
一般的な装置では、コンテナを洗浄位置まで搬送して固定し、必要に応じて反転または傾斜させたうえで、内部や外面へ洗浄水を噴射します。
- 搬入・搬出用コンベヤ
- 位置決め・ストッパー機構
- クランプ・固定機構
- 反転・傾斜機構
- 洗浄ノズル・配管・ポンプ
- 受け槽・ストレーナ・排水設備
- 安全カバー・扉・インターロック
- PLC・タッチパネル・制御盤
付着物の状態によっては、温水、洗浄液、高圧水、回転ノズル、ブラシなどを組み合わせます。
洗浄工程の流れ
- コンテナを洗浄位置まで搬入する
- 位置と姿勢を確認して固定する
- 必要に応じて反転または傾斜させる
- 洗浄水や洗浄液を噴射する
- 付着物と洗浄水を排出する
- 一定時間、水切りまたは乾燥を行う
- 原位置へ戻して次工程へ搬出する
噴射時間、反転角度、水切り時間などは、コンテナの種類や汚れの程度に応じて品種設定として登録できます。
反転・固定機構
コンテナの底面、隅部、リブ周辺まで洗浄するには、容器を反転または傾斜させる方法が有効です。洗浄水と残留物を排出しやすくなり、内部に水が溜まることも抑えられます。
反転前には、クランプやガイドでコンテナを確実に固定します。固定が不十分な状態で反転すると、位置ずれや落下につながるため、クランプ完了信号を確認してから動作させます。
複数形状のコンテナを扱う場合は、幅調整式ガイド、交換式アタッチメント、品種判別センサなどを検討します。
洗浄ノズルと必要流量
洗浄性能は、水圧だけでなく、ノズルの種類、噴射角度、流量、対象面までの距離、噴射時間によって変わります。
複数ノズルを同時に使用する場合、必要な総流量Qは、1個当たりの流量qとノズル数nから、概略的に次のように求められます。
Q=q×n
例えば、1個当たり毎分15Lのノズルを6個使用する場合、必要流量は毎分90Lです。
実際には、配管損失、ポンプ揚程、同時に開くバルブ数も考慮してポンプを選定します。
洗浄水の循環と排水
洗浄水を循環利用する場合は、回収槽、ストレーナ、フィルタ、ポンプなどを設けます。付着物を十分に除去せずに循環すると、ノズル詰まりや再付着の原因になります。
食品や異物混入対策が重視される用途では、すすぎ工程だけ清水を使用するなど、洗浄水の使い分けも検討します。
- 固形物を除去するストレーナ
- 沈殿物を清掃しやすい受け槽
- 水位低下時のポンプ空運転防止
- 排水量・排水温度への対応
- 洗浄液を使用する場合の材質選定
搬送設備との連動制御
生産ラインへ組み込む場合は、前後のコンベヤや搬送装置と信号を連携します。
PLCは、コンテナ到着、位置決め、固定、扉閉鎖、反転、洗浄、水切り、原位置復帰の各状態を確認し、条件が成立した場合だけ次工程へ進めます。
- 洗浄位置が空いている場合だけ搬入する
- コンテナ停止を確認してから固定する
- 扉閉鎖と固定完了後に反転する
- 洗浄完了後に原位置へ復帰する
- 下流設備の受入れ可能時だけ搬出する
処理時間が前後工程より長い場合は、待機コンベヤやバッファを設け、ライン全体の滞留を防ぎます。
洗浄能力とサイクルタイム
1個のコンテナを処理する時間は、搬入、固定、反転、洗浄、水切り、搬出の各時間の合計で決まります。
1サイクル時間をt秒とすると、理論上の1時間当たり処理数Nは、次の式で表せます。
N=3,600÷t
例えば、1サイクルが180秒の場合、理論上は1時間当たり20個です。
実際には、コンテナ供給待ち、排水、作業者確認、異常停止などがあるため、必要能力に余裕を持たせて設計します。
安全制御
コンテナ洗浄装置では、水の飛散、反転部への接触、コンテナの落下、高温水や洗浄液への接触を防ぐ必要があります。
- 安全扉が開いている間は可動部を停止する
- 固定完了前は反転を許可しない
- 原位置復帰前は搬出コンベヤを起動しない
- ポンプ圧力や受け槽水位を監視する
- 非常停止時は安全側へ停止させる
安全扉を開けた際に、コンテナや反転部が自重で動く可能性がある場合は、機械的な保持機構も設けます。
洗浄状態の確認
洗浄時間が完了しても、付着物が必ず除去できているとは限りません。付着量や汚れの固着状態が一定でない場合は、目視確認や定期的な洗浄結果の評価が必要です。
設備条件によっては、ポンプ圧力、流量、洗浄液温度、噴射時間を記録し、設定どおりに洗浄されたことを確認できるようにします。
画像判定や濁度測定などを用いる方法もありますが、検出対象や要求品質に応じた評価が必要です。
保守・清掃上の注意点
ノズルの詰まり、ストレーナの目詰まり、受け槽への堆積、ポンプの能力低下は、洗浄品質へ直接影響します。
- ノズルを取り外して点検できる構造
- ストレーナを清掃しやすい配置
- 受け槽の底部を洗浄しやすい形状
- 配管内の残水を排出できる構造
- 反転軸・チェーン・軸受の定期点検
洗浄液を使用する場合は、接液部材質、パッキン、ホース類の耐薬品性も確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、コンテナ洗浄装置の機械設計、搬送機構、制御盤、PLCソフトウェア、タッチパネル画面まで一貫して対応します。
コンテナ形状に合わせた位置決め・固定、反転・傾斜機構、ノズル・ポンプ制御、前後コンベヤとの連動、安全扉のインターロックを組み合わせます。
洗浄装置単体だけでなく、容器への充填、搬送、回収、再使用までの工程を確認し、必要能力、安全性、操作性、保守性を考慮した設備として構築します。
よくある質問
Q. 異なる大きさのコンテナを1台で洗浄できますか?
A. 対応寸法と重量の範囲を決め、ガイドやクランプを調整式にすることで対応できます。形状差が大きい場合は、交換式治具を使用します。
Q. 洗浄水を循環して再利用できますか?
A. 回収槽、ストレーナ、フィルタなどを設けることで可能です。ただし、汚れの種類や衛生条件によっては、すすぎ工程に清水が必要です。
Q. 洗浄後に水滴を残さないようにできますか?
A. 傾斜による水切り、エアブロー、温風乾燥などを組み合わせられます。必要な乾燥状態と処理時間に応じて選定します。
Q. コンテナが正しく固定されていない場合はどうなりますか?
A. 固定確認センサが成立しなければ、反転や洗浄を開始しないインターロックを設けます。
Q. 既設の搬送ラインへ追加できますか?
A. コンベヤ高さ、搬送方向、設置スペース、必要処理能力、前後設備の信号を確認し、接続方法を検討します。
関連ワード
容器反転装置とは、搬送工程の中で容器を所定位置に固定し、回転・反転させることで、容器内の粉体、粒体、部品などをホッパー、ミキサー、計量槽、次工程の容器へ投入する装置です。
作業者が容器を持ち上げて内容物を投入する作業を自動化できるため、重量物の取扱い負担、粉じんへの接触、投入時の落下事故などを減らす目的で使用されます。搬入、位置決め、クランプ、上昇、反転、排出、復帰、搬出までをPLCで連続制御します。
対象となる容器の寸法、重量、形状、内容物の性質によって、保持方法、反転角度、回転速度、投入先との接続方法が異なります。装置を設計する際は、容器だけでなく、内容物が反転時にどのように流れるかを確認することが重要です。
容器反転装置の基本構成
一般的な容器反転装置は、容器搬送部、位置決め機構、クランプ機構、昇降機構、反転機構、投入シュート、安全カバー、制御盤、PLCなどで構成されます。
容器はローラーコンベア、チェーンコンベア、台車、フォークリフトなどで装置へ搬入されます。所定位置へ到着するとストッパーやガイドで位置を整え、クランプ機構で容器を固定します。
固定完了を確認した後、モーター、減速機、油圧シリンダー、エアシリンダーなどで容器を上昇・反転させます。内容物を排出した後は、容器を正立位置へ戻し、クランプを解除して搬出します。
主な用途
- 粉体・粒体原料をミキサーやホッパーへ投入
- 計量済み原料を次工程へ移し替え
- 部品や製品を別の容器へ移載
- ドラム、コンテナ、ボックスパレットの内容物排出
- 容器の洗浄や残留物除去のための反転
- 重量物を扱う手作業の省力化
例えば、複数原料を地上で容器へ計量し、その容器をコンベアでミキサー上部まで搬送して反転投入する設備があります。計量工程と反転投入を連携させることで、原料名、目標重量、実計量値、投入先を一連のデータとして管理できます。
基本的な動作工程
容器の搬入と位置決め
容器を装置内へ搬入し、ストッパー、ガイド、位置センサで所定位置に停止させます。容器がずれた状態でクランプすると、保持力が不足したり、反転中に容器が傾いたりする可能性があります。
在荷センサだけでなく、前後位置、左右位置、容器高さなどを確認する場合があります。複数種類の容器を扱う設備では、容器番号や品種から使用する位置決め条件を切り替えます。
クランプと保持確認
容器の側面、上部、底部、パレットなどを機械的に保持します。クランプ完了センサを設け、左右の保持部が正しく閉じていることを確認してから反転を許可します。
容器の変形、寸法ばらつき、内容物の偏りも考慮します。必要に応じて、押さえ板、落下防止爪、ベルトなどを追加します。
上昇と反転
投入先の高さまで容器を上昇させ、設定した速度で反転します。急激に回転すると内容物が一度に落下し、粉じんの発生、投入先の過負荷、容器内原料の飛散につながります。
インバーターやサーボモータを使用し、加速、通常速度、投入位置付近の低速、停止を段階的に制御する場合があります。
排出と残留確認
容器を設定角度まで反転し、内容物を排出します。流動性の良い粒体は短時間で排出できますが、付着性や圧縮性のある粉体は容器内部へ残ることがあります。
必要に応じて、容器の揺動、振動機、ノッカー、エアレーションなどを使用します。ただし、粉体が固く締まった状態で過度な衝撃を加えると、装置や容器を損傷する可能性があります。
正立復帰と搬出
排出完了後は容器を正立位置へ戻し、下降させます。正立、下降端、回転停止を確認してからクランプを解除し、コンベアや台車で搬出します。
投入先の設備が運転中の場合は、反転装置を復帰させる前にシュートや容器が干渉しないことも確認します。
容器の保持方法
側面クランプ方式
容器の左右を挟んで保持する方式です。容器の幅や強度が安定している場合に適しています。薄い容器では変形しないようクランプ圧を調整します。
上部押さえ方式
容器の上側から押さえ、反転時の浮き上がりや落下を防ぎます。蓋付き容器の場合は、蓋の強度や固定状態を確認します。
パレット保持方式
容器ではなく、容器を載せたパレットや架台を固定して反転します。容器形状が一定でない場合にも対応しやすい一方、容器とパレットの固定が必要です。
専用治具方式
容器形状に合わせた専用治具を使用します。高い保持安定性を得られますが、容器変更時には治具交換や調整が必要になります。
設計・制御上のポイント
最大荷重と偏荷重を考慮する
装置が支える荷重には、容器重量と内容物重量が含まれます。反転中は重心位置が移動し、回転軸へ加わるトルクも変化します。
容器と内容物の合計質量をm、重力加速度をg、回転軸から重心までの距離をrとすると、静的な負荷トルクτは概算で次のように表せます。
τ=mgr
実際の選定では、加減速による動的負荷、内容物の偏り、機械摩擦、安全率も考慮してモーター、減速機、軸、フレームを設計します。
粉体の流動性と付着を確認する
粉体の粒径、含水率、圧縮性、付着性によって排出状態は変化します。容器を180°反転しても、内容物が一体となって残る場合があります。
実粉体を用いた排出試験を行い、必要な反転角度、保持時間、揺動回数、振動条件を確認することが重要です。シュート内の閉塞や付着も含めて検討します。
粉じんと飛散を抑える
粉体を高い位置から落とすと、粉じんが発生しやすくなります。反転位置と投入先の距離を短くし、投入シュート、密閉カバー、集塵フードなどを設けます。
容器と投入先を接続する可動シュートを使用する場合は、その接触力が反転動作を妨げないようにします。
前後設備とのインターロックを設ける
投入先のミキサーやホッパーが受入可能でなければ、反転を開始しません。投入先満杯、排出ゲート開放、別原料処理中などの状態を確認します。
反転中は搬入・搬出コンベアを停止し、別の容器が装置内へ進入しないようにします。搬出時も、下流側に空きがあることを確認します。
位置検出を多段階で行う
正立位置、反転位置、上昇端、下降端、クランプ完了などをセンサで確認します。運転指令後に一定時間以内で目的位置へ到達しない場合は、タイムアウト異常とします。
センサ信号だけでなく、インバーターやサーボモータの運転・位置情報を組み合わせると、異常箇所を切り分けやすくなります。
異常監視と復旧
主な異常には、容器未到着、位置ずれ、クランプ不良、上昇・下降未完了、反転位置未到達、モーター過負荷、インバーター異常、容器引っ掛かり、投入先満杯などがあります。
反転途中で停止した場合は、容器の姿勢、クランプ状態、内容物の残量、周辺設備との干渉を確認します。無条件に原点復帰すると内容物が飛散したり、機械が干渉したりする可能性があります。
タッチパネルでは、現在工程、容器位置、各センサ状態、異常内容、手動復旧手順を表示します。保守運転では、低速かつ押している間だけ動作する操作を検討します。
停電時の安全
反転中に停電すると、容器の自重で回転部や昇降部が動く可能性があります。無励磁作動形ブレーキ、逆転防止機構、機械式ロック、落下防止装置などを設け、安全な姿勢を保持します。
復電後は、容器位置とPLCの工程状態を確認します。容器が中間角度で停止している場合は、自動運転を再開せず、作業者が周辺を確認してから手動で復帰させます。
安全対策
容器反転装置には、挟まれ、巻き込まれ、落下、内容物の飛散といった危険があります。周囲へ安全柵やカバーを設け、安全扉スイッチ、非常停止、ライトカーテンなどで危険区域への侵入を検出します。
安全扉が開いた場合は動力を安全に停止し、扉を閉めただけで自動再起動しない構成とします。重量物を高所で扱う場合は、制御回路だけでなく機械的な落下防止も必要です。
計量・搬送設備との連携
容器反転装置を計量設備と組み合わせることで、原料計量、容器搬送、反転投入、空容器回収までを自動化できます。
計量完了した容器だけを投入位置へ搬送し、容器番号、原料名、ロット、実計量値、投入先を照合してから反転を許可します。これにより、誤った原料や未計量の容器を投入することを防ぎます。
投入完了後は、製造指示番号、計量値、投入時刻などを実績として保存し、生産管理システムやトレーサビリティへ活用できます。
保守と設備更新
定期点検では、クランプ部、回転軸、軸受、チェーン、減速機、ブレーキ、油圧・空圧機器、位置センサ、ボルトの緩みを確認します。粉体が可動部へ堆積すると、位置ずれや動作不良の原因になります。
容器種類を追加する場合は、寸法、重量、重心、強度、クランプ位置を確認します。単にガイド幅を変更するだけでは、安全に保持できない場合があります。
PLCやインバーターを更新する場合は、加減速時間、ブレーキ制御、センサ論理、タイムアウト、手動復旧動作を確認し、実容器を使用して試運転します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、容器の寸法・重量、内容物の性状、投入先の高さ、必要能力、設置スペースなどを確認し、用途に適した容器反転装置を検討します。
コンベア、位置決め機構、クランプ、昇降・反転機構、投入シュートなどの機械設計に加え、制御盤、PLC、インバーター、タッチパネル、安全回路を組み合わせます。
容器搬入、識別、計量、反転投入、空容器搬出までの工程を整理し、前後設備とのインターロック、異常監視、停電時の保持、手動復旧操作を設計します。
搬送能力、計量精度、実粉体の排出性、既設設備との接続条件を確認し、設備全体として対応可能な構成を検討します。
よくある質問
Q. 容器内に粉体が残る場合はどうしますか?
A. 反転角度、保持時間、揺動動作、振動機などを検討します。粉体の付着性や圧縮性によって適切な方法が異なるため、実粉体による排出試験が有効です。
Q. 異なる大きさの容器を1台で反転できますか?
A. ガイドやクランプ位置を調整できる構造にすれば対応できる場合があります。各容器の寸法、重量、重心、強度を確認して設計します。
Q. 反転途中で停電した場合に容器は落下しませんか?
A. ブレーキ、機械式ロック、落下防止機構などで保持する構成を検討します。停電時に安全な状態を維持できることを設計段階で確認します。
Q. 既設コンベアへ容器反転装置を追加できますか?
A. 搬送高さ、容器寸法、設備能力、設置スペース、電源、前後設備の制御条件を確認し、追加できる場合があります。
Q. 計量済みの容器だけを自動で投入できますか?
A. 容器番号と計量実績を照合し、計量完了、原料一致、投入先受入可能の条件がそろった場合だけ反転を許可する制御を構成できます。
関連ワード
転換機(直行搬送)とは、コンベア上を流れてきた容器やパレットを、進行方向に対して90度異なる方向へ移載する搬送装置です。製造ラインの分岐、合流、設備間の受渡しなど、限られた設置スペースで搬送経路を変更する場合に使用されます。
搬送物を横から押し出すプッシャー方式でも方向転換は可能ですが、容器やパレットの底面を滑らせるため、摩耗、傷、荷崩れが問題になる場合があります。転換機では、搬送物を持ち上げる、または直交する搬送部へ受け渡すことで、底面を大きく滑らせずに方向を変えられます。
ハカルプラスでは、搬送物の寸法、重量、底面形状、必要能力、前後設備、設置スペースを確認し、ローラー、チェーン、ベルトなどを組み合わせた転換機を設計します。計量ステーションと連動し、容器を搬送しながら原料を順次計量する設備にも対応できます。
転換機の基本構造
一般的な転換機は、主搬送方向のコンベアと、それに直交する昇降式の搬送部で構成されます。搬送物が所定位置へ到着すると主コンベアを停止し、直交搬送部を上昇させて搬送物を受け取ります。その後、直交方向へ搬送し、次のコンベアへ引き渡します。
搬送方式には、ローラーの間からチェーンやベルトを上昇させる方式、搬送面全体を昇降させる方式などがあります。搬送物の底面に、フォークリフト用の開口や脚部がある場合は、チェーンやローラーが確実に接触する位置を検討します。
プッシャー方式との使い分け
プッシャー方式は構造を比較的簡単にできますが、搬送物を押して移動させるため、底面と搬送面の間に摩擦が生じます。樹脂容器、塗装済み容器、変形しやすい箱などでは、擦り傷や摩耗が発生することがあります。
転換機は搬送物を支持した状態で方向を変えるため、底面を滑らせたくない場合に適しています。また、重量物や重心の高い搬送物では、急に押し出す方式よりも安定して移載しやすくなります。
一方で、転換機には昇降機構や複数の駆動部が必要です。設備能力、搬送物への影響、保守性、設置寸法を比較して方式を選定します。
コンベア方式の選定
搬送物の形状や重量によって、転換機に使用するコンベア方式が異なります。
- 平らで安定した底面の容器にはローラーコンベア
- パレットや重量物にはチェーンコンベア
- 小型容器や底面に凹凸がある搬送物にはベルトコンベア
- 頻繁な起動・停止にはモーターローラーコンベア
搬送物の最小寸法がローラーピッチより小さい場合は、搬送中に傾いたり落ち込んだりする可能性があります。搬送物の底面寸法と支持点を確認し、ローラーピッチやチェーン間隔を決めます。
搬送能力の考え方
転換機の処理能力は、搬送速度だけでなく、搬送物の到着確認、位置決め、主コンベア停止、昇降、直交搬送、次工程への引渡しに必要な時間から決まります。
前後のコンベアが高速でも、転換動作に時間がかかれば搬送物が滞留します。必要な処理数、搬送物同士の間隔、次工程の受入時間を確認し、転換機の動作時間と待機場所を設計します。
位置決めと検出
搬送物が正しい位置へ停止していない状態で昇降すると、転換機への乗り移り不良や搬送物の傾きにつながります。そのため、光電センサや近接センサで到着位置と停止位置を検出します。
位置決め精度が必要な場合は、ストッパーを設けて搬送物を機械的に停止させます。搬送物の長さが複数ある場合は、センサ配置や停止位置を切り替える構成を検討します。
制御とインターロック
転換機では、昇降部の上昇・下降、各コンベアの運転、ストッパーの開閉を順番に制御します。次工程が受入可能であることを確認してから搬送を開始し、搬送経路上での衝突や詰まりを防ぎます。
主なインターロックには、次のようなものがあります。
- 搬送物が停止位置に到着するまで昇降しない
- 昇降位置が確定するまでコンベアを動かさない
- 搬送先に別の搬送物がある場合は送り出さない
- モーター過負荷やセンサ異常時は運転を停止する
異常時の対応
代表的な異常には、搬送物の位置ずれ、昇降部の動作不良、搬送タイムオーバー、モーター過負荷、センサの誤検出があります。異常時は各駆動部を停止し、搬送物の現在位置と異常内容をタッチパネルなどに表示します。
搬送途中で停止した場合は、搬送物を手動で取り除くのか、個別操作で所定位置まで移動させるのかを決めておきます。手動運転では、昇降位置や前後設備の状態を無視して機器を動かさないよう、必要な安全条件を残します。
停電復旧後は、停電前の搬送指令をそのまま再開せず、搬送物の位置、昇降部、ストッパー、前後コンベアの状態を確認してから運転を再開します。
計量設備との組み合わせ
転換機を使用して搬送経路を切り替えることで、容器を複数の計量ステーションへ順番に搬送できます。各ステーションでは、原料の供給、重量確認、計量完了後の払出しを行います。
容器番号や製造指示をバーコードなどで識別し、必要な計量ステーションへ搬送する構成も可能です。計量結果と容器情報を関連付ければ、配合実績や使用原料の履歴を管理できます。
保守・点検
定期点検では、チェーンやベルトの張り、ローラーの回転、昇降機構の摩耗、センサの取付位置、ストッパーの動作を確認します。搬送物が徐々に傾く場合は、左右の駆動差、ローラー摩耗、ガイド位置を点検します。
粉体を扱う設備では、こぼれた原料が昇降部やセンサ周辺に堆積し、動作不良を起こす場合があります。清掃しやすいカバー構造や、堆積しにくいフレーム形状も重要です。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、容器、箱、パレットなどの寸法・重量・底面形状に応じて、ローラー、チェーン、ベルトを用いた転換機を設計します。
転換機単体だけでなく、前後コンベア、移動台車、リフター、ストッパー、計量機を含む搬送設備全体を検討します。制御盤、PLC、タッチパネルによる搬送順序、行先管理、インターロック、異常表示にも対応します。
必要な設備能力と計量精度、工場内の設置スペース、作業者の動線を確認し、既設設備への追加や搬送ラインの更新についても構成を検討します。
よくある質問
Q. プッシャーではなく転換機を使う利点は何ですか?
A. 搬送物の底面を大きく滑らせずに方向転換できるため、容器の摩耗や傷、荷崩れを抑えやすくなります。
Q. パレットと容器の両方を搬送できますか?
A. 寸法、重量、底面形状が対応範囲内であれば可能です。複数種類を扱う場合は、支持位置やセンサ配置を調整します。
Q. 搬送物を90度以外の方向へ分岐できますか?
A. 転換機は主に直交方向への搬送に使用します。その他の角度では、ターンテーブルや別の分岐機構を検討します。
Q. 転換機に計量機能を組み込めますか?
A. 転換機または搬送経路に計量ステーションを設け、容器の搬送と計量を連動させる構成を検討できます。
Q. 既設コンベアへ追加できますか?
A. コンベア高さ、搬送物、設置スペース、既設制御盤の仕様を確認し、追加できる場合があります。
関連ワード
ベルト駆動ローラーコンベアは、複数のローラーをベルトとの摩擦によって回転させ、容器、段ボール箱、トレー、パレットなどを搬送する装置です。搬送物を支えるローラーとは別に、平ベルト、丸ベルト、Vベルトなどを用いてローラーへ駆動力を伝えます。
比較的静かに運転しやすく、底面が平らで安定した搬送物の工程間移動に適しています。計量機、ストッパー、転換機、リフター、検査機などと組み合わせることで、搬送だけでなく、一時停止、位置決め、計量、振り分け、滞留を含む自動搬送システムを構成できます。
ベルト駆動ローラーコンベアの仕組み
主な構成要素は、搬送ローラー、フレーム、駆動ベルト、駆動プーリー、モーター、減速機、ベルト張力調整機構です。モーターで駆動ベルトを動かし、ベルトを各ローラーへ接触させることで、複数のローラーを同一方向へ回転させます。
ローラーの下側から平ベルトを押し当てる方式、ローラー同士を丸ベルトでつなぐ方式、ローラー端部へVベルトを掛ける方式などがあります。搬送物の重量、必要速度、ローラー幅、区間分割の方法、保守性に応じて駆動方式を選定します。
搬送物は、回転するローラーとの摩擦によって進みます。安定して支持するためには、搬送物の底面が常に複数本のローラーへ接触するよう、ローラー間隔を設定することが重要です。
主な用途
- 容器、段ボール箱、トレーの工程間搬送
- パレットに載せた原料や製品の搬送
- 計量ステーションへの搬入・搬出
- 充填機、検査機、包装機との受け渡し
- ストッパーを用いた一時停止と位置決め
- 転換機やリフターを用いた経路切り替え
例えば、複数の計量ステーションへ容器を順番に送り、各地点で異なる原料を投入する設備があります。容器番号や製造指示をバーコード、RFID、上位システムなどから取得し、搬送先や投入内容を切り替えることもできます。
チェーン駆動方式との違い
チェーン駆動ローラーコンベアは、ローラー端部のスプロケットをチェーンで連結して駆動します。重量物やパレットの搬送に適し、大きな駆動力を伝えやすい方式です。
ベルト駆動方式は、チェーン方式より運転音や振動を抑えやすく、用途によっては給油箇所を減らせます。一方、搬送物が重い場合や、油、水、粉じんによってベルトとローラーの摩擦が低下する環境では、滑りや搬送力不足が起こる可能性があります。
方式選定では、搬送物の重量、底面形状、速度、起動頻度、周囲環境、必要耐久性、保守方法を総合して比較します。
搬送能力の考え方
1時間当たりの搬送能力は、搬送速度だけでなく、搬送物の長さ、搬送物同士の間隔、停止時間によって決まります。搬送速度をv、搬送物の進行方向長さをL、搬送物間隔をGとすると、連続して流せる理論上の個数Nは次のように概算できます。
N=3,600v÷(L+G)
Nは1時間当たりの個数、vは搬送速度(m/s)、LとGはメートル単位です。例えば、搬送速度0.3m/s、搬送物長さ0.5m、間隔0.2mの場合、理論値は約1,543個/hです。
実際には、計量、充填、検査、ストッパー動作、前後設備の待ち時間が加わるため、設備全体のサイクルタイムから能力を判断します。コンベアだけを高速化しても、下流工程が処理できなければ生産能力は上がりません。
設計・制御上のポイント
搬送物の重量と底面形状
重量、外形、重心、底面材質、凹凸、脚の位置によって、必要なローラー径、幅、間隔、駆動力が異なります。柔らかい袋、底面が変形した箱、脚付きパレットなどは、ローラー間へ落ち込んだり引っ掛かったりする場合があります。
搬送物の進行方向長さに対し、原則として複数本のローラーで支持できる配置とします。重心が高い搬送物や偏荷重のある容器では、加減速時の転倒や蛇行にも注意します。
ベルト張力と滑り
駆動ベルトの張力が不足すると、ローラーとの接触部で滑り、速度低下や搬送停止が発生します。反対に張力が強すぎると、ベルト、ローラー、軸受、駆動モーターへ過大な負荷がかかります。
使用に伴う伸びや摩耗を調整できる機構を設けます。油、水分、粉じんが付着する環境では摩擦係数が変化するため、ベルト材質、カバー、清掃方法も確認します。
停止・位置決め制御
計量機、充填機、検査機などの位置へ搬送物を停止させる場合は、光電センサ、近接センサ、機械式ストッパーなどを組み合わせます。センサ検出だけでモーターを停止すると、慣性によって停止位置がばらつくことがあります。
停止位置の手前でインバーターにより減速し、低速でストッパーへ当てることで、衝撃と位置ずれを抑えられます。位置精度が必要な場合は、ストッパーに加えて側面ガイドや位置決め機構を設けます。
搬送物の滞留を管理する
下流設備が停止すると、搬送物がコンベア上へ滞留します。後続品で押し続けると、箱の変形、製品同士の衝突、転倒、モーター負荷の増加につながる場合があります。
必要に応じて搬送路を複数の区間へ分け、各区間のセンサで搬送物の有無を確認しながら順番に運転します。搬送物同士を接触させずに待機させるゼロプレッシャー型のアキュームレーション制御もあります。
始動・停止順序とインターロック
始動時は、下流側から順に受入可能な状態を確認し、搬送経路を確保してから上流側を運転します。停止時は、原則として上流から新たな搬送物を送らない状態にして、必要な搬送物を下流へ排出してから停止します。
転換機、リフター、ストッパーなどを組み合わせる場合は、それぞれが所定位置にあることを確認してから搬送します。位置未確認のままコンベアを動かすと、搬送物の落下や機械干渉につながる可能性があります。
到着監視と詰まり検出
搬送物がセンサを通過してから、次のセンサへ到達するまでの標準時間を設定し、一定時間を超えた場合は搬送異常として検出します。原因には、搬送物の引っ掛かり、ベルト滑り、ローラー停止、下流側の詰まりなどがあります。
異常時は該当区間だけでなく、上流側からの送り込みも停止します。タッチパネルへ異常区間、センサ状態、搬送指令を表示すると、復旧箇所を特定しやすくなります。
安全対策
ローラー、駆動プーリー、ベルトなどの巻込み部にはカバーを設けます。作業者が搬送経路へ立ち入る場所では、安全柵、扉スイッチ、非常停止などを検討します。
非常停止後の復旧時は、搬送物の位置、ストッパーや転換機の状態を確認し、不意に自動再起動しないようにします。保守作業中は電源を遮断し、誤起動を防ぐ手順が必要です。
計量設備との組み合わせ
ベルト駆動ローラーコンベアは、フロアスケール、移動台車スケール、ローラー付き計量架台などと組み合わせられます。搬送物を計量位置へ自動搬入し、所定位置で停止させ、重量を計測してから次工程へ搬出します。
計量中にローラーが回転していたり、前後のコンベアと接触していたりすると、振動や外力が計量値へ影響します。計量時は駆動を停止し、搬送物が完全に計量台へ載っていることと、重量が安定したことを確認してから実績を確定します。
複数の計量ステーションを設ける場合は、容器番号、品種、製造指示に基づいて搬送先を制御します。各工程の投入重量、計量日時、容器番号を保存することで、製造実績管理やトレーサビリティにも活用できます。
異常時の復旧と保守
主な異常には、モーター過負荷、インバーター異常、駆動ベルト切れ、ベルト滑り、ローラー固着、搬送物詰まり、センサ未到達があります。異常発生時は、後続品が流入しないよう上流区間を停止します。
復旧時は、搬送物の位置、ローラーやストッパーへのかみ込み、転換機の位置を確認します。搬送物を取り除かずに再起動すると、製品破損や設備損傷が拡大する場合があります。
定期点検では、駆動ベルトの伸び・亀裂・摩耗、ローラーの回転、軸受の異音、プーリー、張力調整部、センサ、ガイドを確認します。ローラーが1本だけ固着していても、搬送物底面の傷や蛇行の原因になることがあります。
設備更新時の注意点
既設コンベアのモーター、インバーター、センサを更新する場合は、搬送速度、減速比、加減速時間、信号論理を確認します。新しいモーターの回転速度が異なると、停止位置や設備能力が変化する場合があります。
PLC更新では、区間搬送、滞留管理、到着監視、前後設備とのインターロックを整理し、搬送物が途中にある状態からの復旧方法も確認します。試運転では、空運転だけでなく、実際の搬送物を使用して停止位置、滑り、滞留動作を確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、搬送物の重量、寸法、底面形状、重心、必要能力、搬送経路、設置スペースなどを確認し、用途に適したベルト駆動ローラーコンベアを選定・設計します。
コンベア単体だけでなく、ストッパー、転換機、リフター、位置決め機構、計量ステーション、ガイドなどを含む機械設計に対応します。計量と搬送を組み合わせ、容器を移動させながら各工程で順次計量する設備も構成します。
制御盤、PLC、インバーター、各種センサを組み合わせ、搬送物の到着確認、減速・停止、区間搬送、アキュームレーション、前後設備とのインターロック、異常監視を行います。
タッチパネルへの搬送位置、設備状態、警報、復旧手順の表示や、搬送・計量実績の保存、バーコードやRFIDによる容器識別、生産管理システムとの連携についても、運用に合わせて検討します。
よくある質問
Q. ローラーが回っているのに搬送物が進まない場合は何を確認しますか?
A. 搬送物底面とローラーの摩擦、搬送物の重量、ローラーの汚れや固着、駆動ベルトの滑りを確認します。油や水分が付着すると搬送力が低下する場合があります。
Q. 搬送物の停止位置が毎回ずれる場合はどうしますか?
A. 搬送速度、減速開始位置、インバーターの減速時間、センサ位置を確認します。高い位置精度が必要な場合は、機械式ストッパーや位置決めガイドを併用します。
Q. 搬送物が途中で詰まった場合は自動復旧できますか?
A. 軽微な滞留であれば区間を再起動できる場合がありますが、引っ掛かりや転倒がある状態で自動復旧すると危険です。異常区間を停止し、作業者が状態を確認してから復旧します。
Q. コンベア上で正確に計量できますか?
A. 計量部を前後設備から機械的に分離し、搬送を停止して重量が安定してから判定すれば、静止計量が可能です。ローラーや搬送物の接触状態が計量値へ影響しない構造が必要です。
Q. 既設ラインへ区間搬送制御を追加できますか?
A. 区間ごとの駆動分割、搬送物検出センサ、PLCの入出力を追加できれば対応できる場合があります。搬送物の長さ、必要滞留数、既設モーター構成を確認して改造範囲を検討します。
関連ワード
チェーン駆動ローラーコンベアは、複数のローラーをチェーンで連動させ、ローラー上に載せた容器、箱、コンテナ、パレットなどを搬送する装置です。搬送物を直接支えるのはローラーであり、モーターの回転をチェーンとスプロケットによって各ローラーへ伝達します。
ベルトコンベアに比べて重量物を支持しやすく、一定の搬送力を確保しやすいことから、製造工程、計量工程、検査工程、保管工程などの間をつなぐ搬送設備として使用されます。ローラーの間に空間を設けられるため、ストッパー、リフター、転換機、位置決め装置、計量機などを組み込みやすい点も特長です。
チェーン駆動ローラーコンベアの仕組みと構成
主な構成機器は、搬送ローラー、ローラー軸、軸受、スプロケット、駆動チェーン、モーター、減速機、フレーム、チェーンカバー、張り調整機構です。設備によっては、インバーター、電磁ブレーキ、トルクリミッター、搬送物検出センサなども組み合わせます。
モーターの回転は減速機で必要な回転速度とトルクに変換され、駆動スプロケットへ伝わります。チェーンが走行すると各ローラー軸に取り付けたスプロケットが回転し、複数のローラーが同じ方向へ連動します。搬送物はローラーとの摩擦によって移動します。
チェーンの掛け方には、隣り合うローラーを順番に連結する方式や、1本または複数本の共通チェーンで複数ローラーを駆動する方式があります。選定時は、必要な搬送力、設置スペース、保守性、騒音、チェーン交換のしやすさなどを考慮します。
主な用途と使用される工程
チェーン駆動ローラーコンベアは、底面が平らで、複数本のローラーによって安定して支持できる搬送物に適しています。代表的な用途は次のとおりです。
- パレットに載せた原料や製品の搬送
- 容器、コンテナ、箱物の工程間搬送
- 計量ステーションへの搬入・搬出
- 充填、組立、検査工程での位置決め
- 自動倉庫や無人搬送車との受け渡し
- リフターや転換機を用いた搬送方向の変更
計量設備では、搬送経路の途中に計量ステーションを設け、容器やパレットを停止させて重量を測定する構成があります。複数の投入ステーションを順番に通過させ、原料ごとの投入量を計量しながら配合する設備にも利用されます。
搬送能力と駆動力の考え方
搬送速度は、ローラーの直径と回転速度から概算できます。
v=π×D×n÷60
vは搬送速度(m/s)、Dはローラー直径(m)、nはローラー回転速度(min-1)です。例えば、直径0.08mのローラーを30min-1で回転させる場合、理論上の搬送速度は約0.126m/sとなります。
ただし、実際には搬送物とローラーの滑り、起動時の加速、荷重分布、ローラー径のばらつきなどにより、理論値と一致しない場合があります。必要な処理能力を求める際は、搬送物の長さ、搬送物間の間隔、停止時間、前後工程の処理時間も含めて検討します。
モーター容量は、搬送物の総重量だけでなく、ローラーやチェーンの回転抵抗、起動時の慣性、傾斜、停止と再起動の頻度などを考慮して選定します。余裕が少なすぎると起動不能や過負荷停止の原因となり、過大なモーターは機械への衝撃を大きくする場合があります。
チェーンコンベアとの違い
チェーンコンベアは、搬送物をチェーンの上に直接載せるか、チェーンに取り付けたアタッチメントで引いて搬送します。一方、チェーン駆動ローラーコンベアでは、搬送物をローラーで支持し、ローラーを回転させるためにチェーンを使用します。
ローラーで支持する方式は、パレットや箱物を比較的滑らかに搬送でき、ローラー間へストッパーや昇降機構を組み込みやすい利点があります。チェーンコンベアは、底面形状が特殊な搬送物や、高い牽引力が必要な用途に適する場合があります。
どちらを採用するかは、搬送物の重量、底面形状、搬送距離、停止精度、周囲環境、清掃性、保守方法などを確認して決定します。
設計・制御上のポイント
搬送物に合わせたローラー選定
搬送物の重量、幅、長さ、底面形状に応じて、ローラー径、ローラー幅、軸径、材質、ローラーピッチを決定します。搬送物の底面が常に複数本のローラーで支持されるようにしないと、搬送中に傾いたり、ローラー間へ落ち込んだりする可能性があります。
重量物では、ローラー単体の許容荷重だけでなく、軸、軸受、フレーム、チェーン、スプロケットの強度も確認します。荷重が一部のローラーに集中する場合は、偏荷重を考慮した設計が必要です。
起動・停止順序とインターロック
複数のコンベアを直列に配置する場合、一般的には下流側から先に起動し、上流側から先に停止します。下流側が停止した状態で上流側から搬送物を送り込むと、衝突や詰まりが発生するためです。
PLCでは、下流設備の運転状態、搬送先の空き、ストッパー位置、リフターの昇降位置、安全扉の状態などを確認して運転許可を出します。異常信号や非常停止信号が入力された場合は、安全側となるように停止範囲と再起動条件を設定します。
搬送物の検出と停止位置
搬送物の有無は、光電センサや近接センサなどで検出します。所定位置で停止させる場合は、検出信号を受けてモーターを停止しますが、慣性によって停止位置がずれることがあります。
停止精度を高めるには、インバーターによる減速運転、低速区間、電磁ブレーキ、ストッパー、位置決めピンなどを組み合わせます。センサの検出位置は、搬送速度や停止距離を考慮して調整します。
チェーンの張りと保護
駆動チェーンは使用に伴って摩耗し、徐々に伸びます。張りが緩すぎると、チェーン外れ、振動、異音、スプロケットとのかみ合い不良が発生する場合があります。張りが強すぎると、ローラー軸や軸受への負荷が増え、摩耗を早める原因となります。
張り調整機構を設けるとともに、チェーン、スプロケット、軸受を点検しやすい構造とします。巻き込み事故を防止するため、チェーンやスプロケットにはカバーを設け、保守時以外は容易に触れられないようにします。
計量設備との組み合わせ
ローラーコンベア上で計量する場合は、計量対象となるローラー区間を独立した架台に載せ、ロードセルで支持する構成などを用います。前後のコンベアと接触していると、荷重や振動が計量部へ伝わり、計量誤差の原因となります。
制御では、搬送物が計量区間へ完全に載ったことを確認して停止し、振動が収まって重量値が安定した後に計量値を確定します。安定判定時間を短くしすぎると値がばらつき、長くしすぎると設備能力が低下するため、実機で調整します。
異常監視・復旧・保守
主な異常には、モーター過負荷、チェーン外れ、搬送物の詰まり、センサ未検出、搬送時間超過、ストッパー動作不良などがあります。センサで搬送物を検出してから一定時間内に次のセンサへ到達しない場合、詰まりや空転と判断して停止させる制御が有効です。
異常停止後は、原因を取り除いただけで自動的に再起動させず、搬送物の位置、前後設備の状態、安全確認を行ったうえで復旧操作を行います。復旧時に搬送物の管理情報がずれないよう、タッチパネルから現在位置を確認・修正できる構成を検討する場合もあります。
日常点検では、異音、振動、チェーンの張り、給油状態、スプロケットの摩耗、ローラーの回転、軸受の発熱、ボルトの緩み、センサの汚れを確認します。チェーンや軸受などの消耗品は、点検結果や稼働時間をもとに交換時期を管理します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、搬送物の寸法、重量、底面形状、搬送距離、処理能力、停止位置、設置スペースなどを確認し、用途に応じたチェーン駆動ローラーコンベアを設計します。
ローラー径やピッチ、フレーム構造、モーター容量、減速比、チェーン構成の検討に加え、ストッパー、転換機、リフター、移動台車、計量機などを組み合わせた設備にも対応します。既設設備へ追加する場合は、前後設備との高さ、搬送速度、信号の取り合い、設置可能範囲を確認します。
制御盤、PLC、タッチパネルの設計では、起動停止順序、搬送物検出、詰まり監視、過負荷監視、手動運転、異常表示、復旧手順まで含めて構成します。計量設備と組み合わせる場合は、安定判定、計量値の取得、品種やロットとのひも付け、実績保存も検討します。
また、搬送履歴、計量実績、警報履歴の保存や、生産管理システム、自動倉庫、上位PLCとの通信連携についても、必要なデータ項目、通信方式、停電や通信断時の動作を確認したうえで対応を検討します。
よくある質問
Q. 搬送物が途中で滑って進まない場合はどうしますか?
A. ローラー表面と搬送物底面の摩擦不足、ローラーの空転、チェーンの緩み、過積載などが考えられます。ローラー材質や表面処理の変更、駆動力の確認、チェーン張りの調整を行い、必要に応じて実際の搬送物を使って搬送テストを行います。
Q. 搬送物の停止位置が毎回ずれるのはなぜですか?
A. 搬送速度が高い、荷重が変化する、ローラーと搬送物の滑りがある、センサ位置が適切でないなどの原因があります。インバーターで減速区間を設ける、ストッパーを追加する、センサ位置を調整することで改善を検討します。
Q. 既設のローラーコンベアへ計量機能を追加できますか?
A. 計量区間を独立させ、ロードセルで支持できる構造であれば追加できる場合があります。ただし、前後設備からの荷重伝達、フレーム剛性、配線スペース、搬送高さなどを現地で確認する必要があります。
Q. 搬送物が詰まった後はどのように復旧しますか?
A. まず設備を停止し、詰まりの原因と搬送物の位置を確認します。手動運転でコンベアやストッパーを個別に操作し、安全を確認してから自動運転へ戻します。搬送物の追跡情報を管理している場合は、位置情報の修正が必要になることがあります。
Q. コンベアを更新するときに制御盤も交換する必要がありますか?
A. モーター容量、センサ数、制御方式、通信仕様が既設制御盤と合えば流用できる場合があります。一方、部品の老朽化、予備品の入手性、安全回路、PLCの保守性を考慮し、制御盤やソフトウェアも含めて更新することがあります。
関連ワード
チェーンコンベアとは、循環するチェーンによって、パレット、容器、コンテナ、台車、箱物などを搬送する装置です。搬送物をチェーンの上へ直接載せる方式と、チェーンに取り付けたアタッチメントで押す・引く方式があります。
比較的重量のある搬送物や、底面にチェーンで支持できる部分を持つ搬送物に適しています。パレット搬送では2列または3列のチェーンで荷重を受け、製造、計量、検査、保管などの工程間を移動させます。
ハカルプラスでは、搬送物の寸法・重量、必要能力、停止位置、計量工程との接続条件を確認し、機械構造、モーター、制御盤、PLC、タッチパネルまで含めた搬送設備を設計します。
チェーンコンベアの仕組み
チェーンコンベアは、主に搬送用チェーン、駆動スプロケット、従動スプロケット、モーター、減速機、フレーム、チェーンガイド、張り調整機構で構成されます。
モーターの回転を減速機とスプロケットを介してチェーンへ伝え、チェーンを一定方向に循環させます。搬送物はチェーンとの摩擦やアタッチメントによって移動します。
搬送物の幅、底面形状、重量、重心位置に応じて、チェーンの列数と間隔を決定します。支持位置が適切でないと、パレットの傾き、底面の変形、搬送中の横ずれにつながります。
主な搬送方式
直接支持方式
2列または3列のチェーン上へ搬送物を直接載せる方式です。パレット、金属製容器、剛性のあるコンテナなどに適しています。
アタッチメント方式
チェーンへ取り付けた爪やバーで搬送物を押す、引く、吊るす方式です。搬送物の形状や工程に合わせた専用構造を構成できます。
間欠搬送方式
搬送物を所定位置まで移動させ、計量、加工、検査、投入などが完了するまで停止させます。センサ、ストッパー、位置決めピンなどを組み合わせます。
搬送速度と処理能力
チェーンを駆動するスプロケットのピッチ円直径をD、回転速度をNとすると、理論上のチェーン速度vは概略的に次の式で表せます。
v=πDN÷60
Dをm、Nをmin−1で表した場合、vの単位はm/sです。
搬送物の間隔をL、チェーン速度をvとすると、1時間当たりの理論搬送数Qは、概略的に次のように考えられます。
Q=3,600v÷L
実際の処理能力には、加速・減速時間、停止時間、工程処理時間、搬送物の受渡し時間などが影響します。
主な用途
- パレットに載せた原料・製品・部品の搬送
- 容器やコンテナの工程間搬送
- 計量ステーションへの搬入・搬出
- 自動倉庫や保管設備との受渡し
- リフターや移動台車と組み合わせた立体搬送
- 組立、検査、充填工程への位置決め搬送
チェーンの列数と支持位置
チェーンの列数は、搬送物の底面構造と荷重分布から決定します。2列式は一般的なパレット搬送に使用され、中央部のたわみが大きい搬送物や幅広の搬送物では3列式を採用する場合があります。
1列当たりの荷重は単純に均等になるとは限りません。搬送物の重心が偏っている場合や底面に反りがある場合は、一部のチェーンへ荷重が集中する可能性があります。
チェーンだけでなく、スプロケット、軸、軸受、フレーム、脚部についても、静的荷重と起動・停止時の動的荷重を考慮します。
モーター容量と搬送負荷
必要な駆動力は、搬送物重量、チェーンとガイドの摩擦、搬送距離、傾斜、加速度などによって変わります。
チェーンを動かすために必要な力をF、チェーン速度をvとすると、必要な機械出力Pは概略的に次の関係で表されます。
P=F×v
実際のモーター選定では、減速機や伝達機構の効率、起動時の余裕、搬送物の詰まりなども考慮します。モーター容量に余裕があっても、チェーンや減速機の許容荷重を超えないことが重要です。
停止位置と位置決め
計量、投入、検査などを行う場合は、搬送物を所定位置へ確実に停止させます。
一般的には、光電センサや近接センサで搬送物を検出し、モーターを停止します。ただし、停止指令を出してから実際に停止するまでには惰行距離が生じます。
停止精度を高める方法には、次のようなものがあります。
- 停止位置の手前で低速へ切り替える
- インバーターで減速時間を設定する
- 機械式ストッパーを使用する
- 位置決めピンやクランプで固定する
- サーボモータを使用して位置制御する
モーター停止だけで高い位置精度を得ようとすると、搬送物重量や摩擦の変化によって停止位置がばらつくため、必要精度に応じて機械的な位置決めを組み合わせます。
アキュームと搬送物の滞留
チェーンコンベア上で搬送物を連続して停止させる場合は、後続の搬送物が衝突しないようにします。
搬送物ごとにストッパーを設ける、センサで間隔を監視する、搬送区間を分割して個別に駆動するなどの方法があります。
搬送物をチェーン上で滑らせながら滞留させる構成では、底面の摩耗、発熱、必要駆動力の増加に注意が必要です。
前後設備とのインターロック
搬送先が受入れできない状態で運転を続けると、搬送物の衝突、落下、設備干渉が発生する可能性があります。
PLCでは、次の条件を確認して搬送を開始します。
- 下流側コンベアが運転可能である
- 搬送先に空きがある
- ストッパーが所定位置にある
- リフターや移動台車が受渡し位置にある
- 搬送経路に別の搬送物がない
搬送物が一定時間以内に次のセンサへ到達しない場合は、詰まり、空転、搬送物の脱落などを検出し、関連設備を停止します。
チェーンの張りと摩耗
チェーンはピンやブッシュの摩耗によって徐々に伸びます。張りが緩すぎると、スプロケットからの外れ、振動、騒音、搬送位置のずれが発生しやすくなります。
反対に張りすぎると、軸受、スプロケット、チェーンへ過大な負荷がかかります。張り調整機構を設け、左右のチェーンを均等に調整することが重要です。
複数列のチェーンで伸び量が異なると、パレットが斜行する場合があります。チェーン、スプロケット、ガイドの摩耗状態を定期的に確認します。
計量設備との組み合わせ
チェーンコンベアで容器やパレットを計量位置へ搬送し、停止状態で重量を測定する設備を構成できます。
計量中は、前後のコンベアやストッパーから不要な荷重が加わらないよう、計量台を機械的に分離します。搬送物が完全に計量台へ載ったことを確認し、振動が収まって重量が安定してから計量値を確定します。
計量完了後は、重量値、日時、品種、ロット番号などを保存し、次工程へ搬送します。投入前後の重量差から、容器へ投入した原料量を求める構成にも対応できます。
保守・点検上のポイント
- チェーンの伸び、張り、給油状態
- スプロケット歯面の摩耗
- チェーンガイドの摩耗や変形
- 軸受の異音、振動、温度上昇
- フレームや取付ボルトの緩み
- センサやストッパーの位置ずれ
摩耗を放置すると、チェーン外れ、搬送物の斜行、停止位置のずれにつながります。点検や交換を行いやすいよう、カバーの着脱方法や作業スペースも設計段階で考慮します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、搬送物の形状、重量、搬送距離、必要能力、停止精度、設置スペースを確認し、チェーンコンベアを選定・設計します。
チェーンの列数と間隔、フレーム、スプロケット、軸、モーター、減速機、ストッパー、センサを、搬送条件に合わせて構成します。
チェーンコンベア単体だけでなく、ローラーコンベア、転換機、リフター、移動台車、計量機、自動倉庫を組み合わせた搬送システムにも対応します。
さらに、制御盤、PLCによる搬送シーケンス、位置検出、前後設備とのインターロック、タッチパネル表示、搬送実績・異常履歴の保存まで一体で設計します。
よくある質問
Q. チェーンコンベア上で搬送物が斜めになる原因は何ですか?
A. 複数列チェーンの張りや伸びの差、スプロケット位置のずれ、搬送物の重心偏り、ガイドの調整不良などが考えられます。
Q. 停止位置が毎回ずれる場合はどうしますか?
A. 搬送速度、センサ位置、減速時間、搬送物重量の変化を確認します。精度が必要な場合は、低速切替えや機械式ストッパーを組み合わせます。
Q. チェーンコンベアで搬送しながら計量できますか?
A. 動的計量も検討できますが、一般的なパレット計量では所定位置に停止させ、周囲からの荷重や振動を切り離して測定します。
Q. チェーンから大きな音が出る原因は何ですか?
A. 張り不足、給油不足、スプロケットやガイドの摩耗、芯ずれ、異物の噛み込みなどが考えられます。運転を継続せず点検します。
Q. 既設コンベアへ計量工程を追加できますか?
A. 計量台の設置スペース、搬送物の支持方法、前後設備からの荷重分離、制御盤の空き入出力を確認し、追加可能か検討します。
関連ワード
モーターローラーコンベアとは、ローラー内部にモーターと減速機を組み込んだモーターローラーを駆動源として、段ボール箱、コンテナ、トレー、パレットなどを搬送する装置です。外付けモーターや長い駆動チェーンを使わずに構成できるため、搬送ラインを比較的コンパクトにまとめられます。
モーターローラーの回転は、丸ベルト、平ベルト、チェーンなどを介して周囲の従動ローラーへ伝えます。搬送路を複数の区間へ分け、搬送物が存在する区間だけを運転するゾーン制御にも適しており、省エネルギー化や搬送物同士の衝突防止に利用されます。
モーターローラーコンベアの仕組みと構成
主な構成機器は、モーターローラー、従動ローラー、フレーム、駆動伝達部、搬送物検出センサ、専用ドライバ、電源、制御盤、PLCなどです。モーターローラーへ運転指令を与えると内部モーターが回転し、ローラー表面と搬送物底面の摩擦によって搬送します。
1本のモーターローラーで複数本の従動ローラーを駆動する構成が一般的です。搬送物の重量、同時に載る数量、必要速度、搬送距離に応じて、ローラー径、ローラーピッチ、駆動本数、モーターローラーの出力を選定します。
ドライバは、運転・停止、正転・逆転、速度設定、過負荷監視などを行います。製品によっては、ゾーン間の搬送制御をドライバ同士で行えるものと、PLCから個別に指令するものがあります。
主な用途
- 段ボール箱、コンテナ、トレーの工程間搬送
- パレットに載せた原料や製品の搬送
- 充填機、検査機、包装機への搬入・搬出
- 計量ステーションへの容器搬送
- 搬送物を一定間隔で待機させる滞留搬送
- 転換機、リフター、移動台車との受け渡し
モーターローラーコンベアは、区間ごとに独立して動かしやすいため、多数の搬送物を順番に待機させる設備に適しています。前方の搬送物が進んだときだけ後方区間を運転すれば、ライン全体を常時動かす必要がありません。
搬送速度と搬送能力
モーターローラーの直径をD、回転速度をN、理論搬送速度をvとすると、次の式で表せます。
v=πDN÷60
Dをm、Nをmin−1で表すと、vの単位はm/sです。例えば、直径50mm、回転速度120min−1の場合は、次のようになります。
v=π×0.05×120÷60≒0.314m/s
実際の速度は、搬送物とローラーの滑り、駆動ベルトの伸び、負荷、加減速時間によって理論値と異なる場合があります。
搬送物の進行方向長さをL、搬送物間の空間をGとすると、理論上の1時間当たり搬送個数Qは、次の式で概算できます。
Q=3,600v÷(L+G)
搬送速度0.3m/s、搬送物長さ0.5m、間隔0.2mの場合、理論値は約1,543個/hです。実際の設備能力は、停止、計量、検査、合流、分岐などの待ち時間を含めて算出します。
ローラーピッチの考え方
ローラーピッチとは、隣り合うローラーの中心間距離です。搬送物を安定して運ぶには、底面を常に複数本のローラーで支持する必要があります。
搬送物の底面長さをL、ローラーピッチをp、支持するローラー本数をnとすると、概算では次の関係になります。
n≒L÷p+1
底面長さ400mm、ローラーピッチ100mmの場合、搬送物は概ね5本のローラーで支持されます。底面が柔らかい箱、小型容器、脚付きパレットなどでは、ピッチを狭くするか、補助ローラーやプレートを設けることがあります。
駆動伝達方式の違い
丸ベルト駆動
モーターローラーと従動ローラーを丸ベルトで連結する方式です。構造が比較的簡潔で、箱やトレーなどの軽量物搬送に利用されます。ベルトの伸び、摩耗、外れを定期的に確認します。
平ベルト駆動
ローラー下部へ平ベルトを押し当て、複数のローラーをまとめて回転させます。比較的長い区間を連続駆動できますが、張力不足や油分の付着による滑りに注意します。
チェーン駆動
ローラー端部のスプロケットをチェーンで連結します。重量物や大きな駆動力が必要な場合に適しますが、給油、張り調整、騒音、巻込み防止カバーなどの保守・安全対策が必要です。
ゾーン制御と滞留搬送
コンベアを複数の区間に分け、各区間を独立して運転する方式をゾーン制御と呼びます。各ゾーンに光電センサなどを設け、搬送物の有無を検出します。
下流ゾーンが空いていれば搬送物を送り、占有されていれば上流ゾーンで待機させます。搬送物同士を強く接触させずに蓄積する方式は、ゼロプレッシャーアキュームレーションと呼ばれます。
搬送物が下流へ移動した後は、空いたゾーンから順番に運転します。センサの死角や搬送物の長さによって、1つの搬送物を複数ゾーンで検出する場合があるため、ゾーン長さとセンサ位置を搬送物に合わせます。
設計・制御上のポイント
搬送物の重量と底面を確認する
搬送物の重量、寸法、重心、底面材質、凹凸によって、必要なローラー径、ピッチ、駆動力は異なります。柔らかい袋、底面が変形した箱、脚付きパレットは、ローラー間へ落ち込んだり引っ掛かったりすることがあります。
重心が高い搬送物では、急加速・急停止による転倒にも注意します。必要に応じて側面ガイドを設け、速度や加減速時間を調整します。
必要な駆動力と電源容量を確保する
搬送物重量、同時搬送数、ローラーや軸受の抵抗、傾斜、起動頻度などから必要な駆動力を検討します。容量が不足すると、起動不能、速度低下、ドライバの過負荷停止が発生します。
複数のモーターローラーを同時起動すると、電源へ負荷が集中します。電源容量、配線長、電圧降下を確認し、必要に応じて起動タイミングをずらします。
前後設備との乗り移りを安定させる
前後のコンベアとの間に大きな隙間や段差があると、小型搬送物が落下したり、底面が引っ掛かったりします。端部ローラー径、コンベア間距離、搬送高さを確認します。
リフターや転換機へ受け渡す場合は、相手機器が所定位置にあり、搬送面の高さが一致していることを確認してから送り出します。
停止と位置決めを調整する
センサ位置でモーターローラーを停止しても、搬送物は慣性で進むため、停止位置がばらつくことがあります。位置精度が必要な場合は、低速で接近させる、機械式ストッパーへ当てる、位置決めガイドを設けるなどの方法を用います。
計量設備へ搬入する場合は、搬送物が完全に計量台へ載り、前後のローラーやストッパーから外力を受けていないことを確認します。
正転・逆転を安全に切り替える
搬送物の取出しや異常復旧のため、逆転機能を設ける場合があります。正転中に直ちに逆転すると、モーターや駆動伝達部へ大きな負荷がかかります。
一度停止し、必要な待ち時間を設けてから逆転します。正転・逆転信号が同時に出ないよう、PLCソフトと電気回路の両方でインターロックを設けます。
搬送タイムアウトを監視する
運転開始後、設定時間内に次のセンサへ搬送物が到達しない場合は、搬送異常と判断します。原因には、ローラーの滑り、搬送物の引っ掛かり、モーターローラー停止、センサ不良があります。
タイムアウト時は異常区間と上流区間を停止し、後続品の衝突を防ぎます。タッチパネルへ異常ゾーン、センサ状態、運転指令を表示すると、復旧箇所を確認しやすくなります。
異常時の復旧とフェイルセーフ
主な異常には、モーターローラー過負荷、ドライバ異常、電源電圧低下、駆動ベルト切れ、ローラー固着、搬送物詰まり、センサ未到達があります。異常発生時は、該当ゾーンだけでなく、搬送物を送り込む上流ゾーンも停止します。
復旧時は、搬送物の位置、ローラー間へのかみ込み、転換機やストッパーの位置を確認します。搬送物を取り除かずに自動再起動すると、製品破損や設備損傷が広がる場合があります。
停電復旧後は、各ゾーンに残る搬送物をセンサで再確認します。センサだけでは搬送物の行先や処理済み状態を判断できない場合があるため、作業者確認後に再開する構成も検討します。
保守と設備更新
定期点検では、モーターローラーの異音や発熱、従動ローラーの回転、丸ベルトや平ベルトの摩耗・伸び、チェーン張力、センサの汚れ、配線を確認します。
ローラーが1本固着しているだけでも、搬送物底面の傷、搬送速度低下、過負荷の原因になります。ゾーンごとの搬送時間や消費電流を記録しておくと、劣化を把握しやすくなります。
モーターローラーやドライバを更新する場合は、電源電圧、定格電流、搬送速度、回転方向、制御信号、異常信号を確認します。新旧機器で加減速特性や応答時間が異なる場合は、タイムアウトや停止位置を再調整します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、搬送物の寸法・重量・底面形状、搬送速度、搬送距離、必要能力、滞留数、前後設備との受渡し条件などを確認し、モーターローラーコンベアを含む搬送設備を検討します。
ローラー径、ピッチ、モーターローラー、従動ローラー、センサ、ストッパー、ガイドなどの機械構成に加え、制御盤、PLC、タッチパネルを組み合わせて設備を構成します。
運転・停止、正転・逆転、速度切替、ゾーン制御、ゼロプレッシャーアキュームレーション、搬送タイムアウト、前後設備とのインターロック、異常時の停止・復旧を設計します。
リフター、移動台車、転換機、計量機、自動倉庫などとの連携や、バーコードなどによる行先管理、搬送実績・警報履歴の保存、上位システムとの通信についても、運用と仕様を確認して検討します。
よくある質問
Q. モーターローラーが回っているのに搬送物が進まない場合は何を確認しますか?
A. 搬送物底面とローラーの滑り、従動ローラーの固着、駆動ベルトの外れや伸び、搬送物重量、ガイドへの接触を確認します。
Q. ゾーン間で搬送物が詰まる場合はどう調整しますか?
A. センサ位置、ゾーン長さ、搬送物長さ、受渡しタイミングを確認します。隣接ゾーンを一時的に同時運転すると改善する場合があります。
Q. 搬送物の停止位置がばらつく場合はどうしますか?
A. 搬送速度、減速開始位置、センサ位置、停止応答を確認します。高い位置精度が必要な場合は、機械式ストッパーを併用します。
Q. 停電後に自動で搬送を再開できますか?
A. 搬送物の位置と行先を正しく判断できれば再開できる場合があります。ただし、処理状態が不明な搬送物がある場合は、作業者確認後の復旧が安全です。
Q. 既設コンベアをゾーン制御へ変更できますか?
A. 区間ごとに駆動を分け、センサ、ドライバ、PLC入出力を追加できれば対応できる場合があります。搬送物の長さ、必要滞留数、既設電源容量を確認します。