Technology
異物除去機器設計
(いぶつじょきょききせっけい)
異物除去機器設計とは、粉体や粒体の製造・搬送・計量工程に混入した金属片などの異物を検出・除去し、製品への混入を防ぐための機器と設備構成を設計することです。医薬品、食品、化学品など、安全性と品質保証が重視される分野で重要になります。
異物が混入すると、製品回収、生産停止、設備損傷、取引先への影響などにつながる可能性があります。異物除去機器は、単体で設置すればよいものではなく、原料の性状、異物の種類、供給量、設置場所、清掃方法を確認し、前後設備を含めて選定する必要があります。
ハカルプラスでは、マグネット式異物除去装置や金属検出機などを、粉体供給、搬送、計量、充填設備へ組み込む構成を検討します。
想定される異物
粉体設備へ混入する異物には、原料由来のもの、設備の摩耗や破損によるもの、作業時に入り込むものがあります。
- ボルト、ナット、ワッシャーなどの金属部品
- 機械加工や摩耗によって発生した金属粉
- 金網、工具、針金などの破片
- 樹脂、ゴム、紙、木片などの非金属異物
- 原料袋や梱包材の切れ端
マグネットで除去できるのは主に鉄系の磁性金属です。ステンレスやアルミニウムなどは材質や大きさによって除去できないため、金属検出機など別の方式を検討します。
マグネット式異物除去装置
マグネット式異物除去装置は、原料中に混入した鉄片や鉄粉を磁力で吸着する機器です。ホッパー出口、シュート、配管、投入部など、粉体が通過する場所へ設置します。
格子状マグネット、棒磁石、マグネットセパレーターなどがあり、原料の流れ方や設置スペースに応じて選定します。粉体が磁石表面へ十分に接近する構造にすることが重要です。
処理量に対して通過面積が小さいと、粉体が詰まったり供給能力が低下したりします。付着性の高い粉体では、磁石表面への堆積も考慮します。
金属検出機
金属検出機は、製品中を通過する金属によって生じる電磁的な変化を検出する機器です。鉄系金属だけでなく、非鉄金属やステンレスを検出できる機種もあります。
検出感度は、金属の材質、大きさ、形状、向き、製品特性、通過口径などによって変わります。通過口径が大きくなるほど、小さな異物の検出が難しくなる傾向があります。
粉体用では、自由落下式、配管式、コンベア式などがあり、検出後に異物を含む原料を排出する選別機構を組み合わせる場合があります。
設置位置の考え方
異物除去機器は、異物が混入する可能性のある場所と、異物によって損傷しやすい設備の手前へ設置します。
原料受入部へ設置すれば、工場内へ異物が入り込む前に除去できます。粉砕機やスクリューフィーダーの手前へ設置すれば、設備内部の損傷を防ぎやすくなります。
最終充填工程の直前へ設置すると、製品への混入を最終確認できます。ただし、除去後の配管や装置から新たな異物が発生する可能性もあるため、工程全体で設置位置を検討します。
粉体特性による影響
異物除去機器の性能は、粉体の流動性、付着性、粒径、かさ密度、水分などの影響を受けます。
付着性の高い粉体では、マグネットや検出部へ原料が堆積し、閉塞や清掃負担につながります。流動性の悪い粉体では、異物除去機器の入口でブリッジが発生することもあります。
原料の供給量が不安定な場合は、瞬間的に粉体が集中し、マグネットへの接触不足や金属検出機の誤検出が起こる可能性があります。前段のフィーダーで供給を安定させることも重要です。
除去機構と排出方法
金属検出後の処理には、ライン停止、警報、排出ゲートの切替、不良品容器への排出などがあります。
連続生産を維持する場合は、検出位置から排出位置までの距離と搬送時間を考慮し、異物を含む範囲だけを排出します。
排出量を小さくしすぎると異物が良品側へ残る可能性があり、大きくしすぎると正常品の廃棄量が増えます。搬送速度と応答時間を確認して調整します。
インターロックと異常監視
異物除去機器を設備へ組み込む場合は、前後設備とのインターロックを設計します。
- 除去機器が所定位置に取り付けられている
- 排出先容器が設置されている
- 選別ゲートが正常位置にある
- 金属検出機に異常がない
- 清掃扉や点検口が閉じている
異常時に前段設備を停止しないと、原料が流れ続けて排出先があふれたり、未検査品が通過したりする可能性があります。
清掃性と衛生設計
食品・医薬品向け設備では、異物除去性能だけでなく、分解、清掃、洗浄、点検のしやすさも重要です。
工具を使わずにマグネットを取り外せる構造、粉だまりが生じにくい形状、残留原料を確認しやすい構造などを検討します。
マグネットに吸着した金属片を清掃する際は、異物が再び原料側へ落下しないようにします。清掃周期と確認方法を作業手順として定めます。
日常点検と記録
マグネット式装置では、吸着物の量、磁石表面の傷、変形、固定状態を確認します。金属検出機では、テストピースを使用して検出・排出動作を定期的に確認します。
点検日時、確認者、テスト結果、回収した異物の種類や量を記録すると、設備摩耗や異物発生源の調査に役立ちます。
金属片の回収量が急に増えた場合は、上流設備の摩耗、部品の緩み、金網の破損などを確認します。
既設設備への追加
既設設備へ異物除去機器を追加する場合は、設置スペース、前後設備の高さ、処理能力、清掃時の作業空間を確認します。
機器を追加すると圧力損失や粉体の滞留が増え、供給能力が変化することがあります。特に空気輸送配管や自由落下配管では、配管径と流れを確認します。
金属検出機を追加する場合は、周囲のモーター、インバーター、金属構造物などによる電気的・機械的な影響も確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、医薬品、食品、化学品などの粉体設備において、原料特性、想定異物、処理能力、設置場所を確認し、異物除去機器の選定と設備への組込みを検討します。
マグネット式異物除去装置、金属検出機、排出ゲート、シュート、ホッパーなどを組み合わせ、前後の供給・搬送・計量工程を含めて構成します。
機械設計だけでなく、PLC、制御盤、タッチパネルを用いた検出、警報、ライン停止、選別排出、点検記録についても仕様に合わせて設計します。
既設設備への追加や改造についても、設置条件と現在の運転方法を確認し、生産能力や清掃性への影響を抑えた構成を検討します。
よくある質問
Q. マグネットだけですべての金属異物を除去できますか?
A. いいえ。主に鉄系の磁性金属が対象です。ステンレスやアルミニウムなどを検出する場合は、金属検出機などを検討します。
Q. 異物除去機器はどこへ設置するのがよいですか?
A. 原料受入部、設備損傷を防ぎたい機器の手前、最終製品工程の直前などが候補です。異物の発生源と工程全体を確認して決定します。
Q. 付着しやすい粉体にも設置できますか?
A. 設置できますが、閉塞や堆積を防ぐため、通過面積、表面形状、清掃方法を検討する必要があります。
Q. 金属を検出した際に自動で排出できますか?
A. 排出ゲートや選別機構を組み合わせれば可能です。検出位置からの搬送時間を考慮して排出タイミングを調整します。
Q. 既設の粉体設備へ後付けできますか?
A. 設置スペース、処理能力、配管形状、清掃性を確認し、後付けできる場合があります。必要に応じてシュートや架台も変更します。