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空気輸送システム
(くうきゆそうシステム)
空気輸送システムとは、配管内に空気の流れをつくり、粉体や粒体を目的の場所まで搬送する設備です。機械式コンベアのように搬送経路全体へ可動部を設ける必要がなく、配管によって上下・水平・曲線を組み合わせた経路を構成できます。
原料の投入位置から受入ホッパー、混合機、計量機、貯槽などへ粉体を送る用途に使用されます。一方で、原料の粒径、かさ密度、付着性、摩耗性などによって適した輸送方式や風速が異なります。能力だけでなく、粉体の破砕、配管摩耗、閉塞、分離性能まで考慮して設計することが重要です。
ハカルプラスでは、粉体特性、搬送距離、高低差、必要能力、既設設備との接続条件を確認し、ブロワー、供給機器、配管、分離機器、制御盤を含む空気輸送システムを検討します。
空気輸送の基本構成
空気輸送システムは、主に次の機器で構成されます。
- ブロワー、コンプレッサー、真空ポンプなどの空気源
- ロータリーフィーダーや供給ホッパーなどの原料供給機器
- 直管、曲管、分岐管などの輸送配管
- サイクロン、フィルター、受入ホッパーなどの気固分離機器
- バルブ、圧力計、差圧計、レベルセンサ
- 制御盤、PLC、インバーター、タッチパネル
原料を空気流へ安定して供給し、輸送先で粉体と空気を分離することで、連続的または間欠的に搬送します。
圧送式と吸引式
圧送式
圧送式は、ブロワーなどで配管内を加圧し、原料を押し出す方式です。一つの供給元から複数の搬送先へ送る構成に適しています。
配管途中から粉体が漏れ出す可能性があるため、配管接続部やシール構造の管理が重要です。供給部には、配管内圧力が原料ホッパー側へ逆流しない構造が必要です。
吸引式
吸引式は、真空ポンプやブロワーによって配管内を負圧にし、原料を吸い込む方式です。複数の原料供給元から一つの受入先へ集める用途に適しています。
配管に隙間が生じた場合でも粉体が外部へ漏れにくいため、粉じんの飛散を抑えやすいことが特長です。一方、受入側にフィルターや真空源を設ける必要があります。
希薄相輸送と高濃度輸送
希薄相輸送は、比較的速い空気流に粉体を分散させて搬送する方式です。一般に構成しやすく、連続搬送へ適用しやすい一方、搬送速度が高いため、原料の破砕や配管摩耗が起こりやすい場合があります。
高濃度輸送は、空気量を抑えて粉体を高い濃度で搬送する方式です。原料や配管への衝撃を抑えやすい反面、閉塞を防ぐために圧力、供給量、配管形状を適切に設計する必要があります。
どちらが適するかは、粉体の性状、搬送能力、距離、品質条件によって判断します。
粉体特性による影響
空気輸送では、同じ重量の粉体でも性状によって搬送状態が大きく変わります。
- 粒径と粒度分布
- かさ密度
- 流動性と付着性
- 吸湿性
- 摩耗性
- 壊れやすさ
付着性の高い粉体では、配管内壁やフィルターへ堆積し、能力低下や閉塞につながります。摩耗性の高い粉体では、曲管や分岐部が早く損耗するため、耐摩耗材や交換しやすい構造を検討します。
原料特性が十分に分からない場合は、実粉体を使った輸送試験によって能力や閉塞の有無を確認する方法が有効です。
配管設計
輸送配管の径が小さすぎると圧力損失が大きくなり、閉塞しやすくなります。反対に大きすぎると、粉体を浮遊させるために多くの空気量が必要になります。
曲管では、粉体が外周側へ衝突するため、直管より摩耗しやすくなります。曲がり数を減らし、可能な範囲で大きな曲率半径を確保します。
水平配管では粉体が沈降しやすく、立上がり部では必要圧力が増加します。搬送距離だけでなく、高低差、曲管数、分岐数を含めて圧力損失を見積もります。
原料供給機器
配管内へ一度に多量の粉体を投入すると、空気流で運びきれずに閉塞する可能性があります。ロータリーフィーダーやスクリューフィーダーなどを使用し、搬送能力に合わせて供給量を安定させます。
圧送式では、ロータリーフィーダーの隙間から空気が漏れると供給能力が低下することがあります。粉体の粒径、摩耗性、差圧を考慮して機器を選定します。
気固分離とフィルター
搬送先では、粉体と輸送空気を分離します。サイクロンやフィルターを使用し、粉体を受入ホッパーへ落下させ、空気だけを排出します。
フィルターが目詰まりすると差圧が上昇し、風量低下や輸送能力不足につながります。パルスジェットなどで付着粉を払い落とす構成や、差圧による清掃時期の監視を行います。
受入ホッパーが満杯の状態で輸送を続けないよう、レベルセンサと連動して搬送を停止します。
運転シーケンス
空気輸送は、機器を同時に起動・停止するのではなく、原料が配管内に残らない順序で制御します。
一般的には、受入側の集塵・分離機器を起動し、次にブロワーで空気流を確立してから原料供給を開始します。停止時は原料供給を先に止め、配管内の粉体を空気だけで送り切った後、ブロワーを停止します。
この空送時間が短いと配管内に粉体が残り、次回起動時の閉塞原因となります。長すぎると消費電力と運転時間が増えるため、配管長や原料に合わせて調整します。
異常監視と閉塞対策
空気輸送で代表的な異常は、配管閉塞、圧力異常、ブロワー過負荷、フィルター差圧上昇、供給機器の詰まりです。
配管圧力が急上昇した場合は、閉塞やバルブ閉止が疑われます。圧力が低すぎる場合は、配管の外れ、空気漏れ、ブロワー能力低下などを確認します。
異常時は原料供給を停止し、必要に応じて空送を継続します。閉塞状態のまま供給を再開すると悪化するため、圧力が正常範囲へ戻り、配管状態を確認してから再起動します。
摩耗・付着・清掃への対策
摩耗が集中しやすい曲管には、耐摩耗ライニング、肉厚管、交換式の曲管などを使用します。定期点検では、外観だけでなく肉厚測定を行う場合もあります。
品種切替や衛生管理が必要な設備では、配管内に原料が残りにくい経路とし、分解・清掃できる接続方法を検討します。エアブローだけでは、付着した粉体を完全に除去できない場合があります。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、原料の種類、必要搬送量、搬送距離、高低差、設置スペースを確認し、空気輸送システムの構成を検討します。
ブロワー、ロータリーフィーダー、配管、バルブ、受入ホッパー、フィルターなどの選定に加え、既設の貯槽、計量機、混合機との接続を含めて設計します。
制御盤、PLC、タッチパネルによる起動・停止シーケンス、圧力監視、フィルター差圧監視、閉塞時のインターロックまで仕様に合わせて構成します。
既設設備の能力改善や搬送先の追加についても、現在の配管、空気源、供給機器を確認し、流用可能な範囲と必要な改造内容を検討します。
よくある質問
Q. どのような粉体でも空気輸送できますか?
A. 多くの粉体に適用できますが、強い付着性、吸湿性、摩耗性がある場合は、試験や特別な対策が必要です。
Q. 圧送式と吸引式はどちらを選べばよいですか?
A. 一つの供給元から複数箇所へ送る場合は圧送式、複数箇所から一つの受入先へ集める場合は吸引式が候補になります。
Q. 配管が頻繁に詰まる原因は何ですか?
A. 供給過多、風量不足、配管径の不適合、粉体の付着、フィルター目詰まりなどが考えられます。
Q. 搬送能力を上げるためにブロワーを大きくすればよいですか?
A. 空気量だけを増やすと、原料の破砕や配管摩耗が増える場合があります。供給量、配管径、圧力を含めて見直します。
Q. 既設の空気輸送設備を改造できますか?
A. 配管、ブロワー、供給機器、受入設備の能力を調査し、搬送先追加や能力改善に対応できる場合があります。