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吸引式空気輸送
(きゅういんしきくうきゆそう)
吸引式空気輸送とは、配管内を負圧にして空気を吸い込み、その空気流によって粉体や粒体を搬送する方式です。真空輸送、負圧輸送などと呼ばれることもあります。原料を吸引ノズルやホッパーから取り込み、受入れ側の分離器まで配管で搬送します。
搬送配管内が大気圧より低い状態になるため、配管や継手に小さな隙間があっても、粉体が外へ漏れ出しにくいことが特長です。食品、化学、樹脂、医薬品などで、粉じんの飛散を抑えながら原料を搬送する用途に利用されます。
吸引式空気輸送の仕組み
吸引式空気輸送では、搬送先側にブロワや真空ポンプを設置して配管内の空気を吸引します。搬送元から取り込まれた粉体は、空気と一緒に配管内を流れ、サイクロンやフィルタ式分離器へ到達します。
受入れ側では、粉体と空気を分離します。粉体はホッパーへ落下し、空気はフィルタを通過してブロワ側へ流れます。
代表的な構成は次のとおりです。
- 原料を吸い込む吸引ノズルまたは供給ホッパー
- 粉体を搬送する配管
- 粉体と空気を分離するレシーバ
- 粉じんを捕集するフィルタ
- 負圧を発生させるブロワまたは真空ポンプ
- 粉体を排出するロータリーバルブや排出弁
圧送式との違い
空気輸送には、吸引式のほかに圧送式があります。圧送式は搬送元側から空気を送り込み、配管内を正圧にして粉体を押し出します。
吸引式は、複数の搬送元から一つの受入れ先へ原料を集める構成に適しています。例えば、複数の原料袋や容器から一台の計量ホッパーへ供給する場合です。
圧送式は、一つの搬送元から複数の搬送先へ分配する構成や、比較的長い距離を搬送する場合に使用されます。
吸引式では配管内が負圧であるため、粉体漏れを抑えやすい一方、搬送できる距離や能力には限界があります。
希相輸送と濃相輸送
空気輸送は、粉体に対する空気量や搬送速度によって、希相輸送と濃相輸送に分けられます。
希相輸送は、比較的多量の空気を使用し、粉体を高速で浮遊させながら搬送します。構成が比較的簡単ですが、粉体や配管の摩耗、粒子破損が起きやすい場合があります。
濃相輸送は、空気量を抑え、粉体を密度の高い状態で低速搬送します。粒子破損や配管摩耗を抑えやすい一方、原料性状や設備条件に合わせた設計が必要です。
搬送能力に影響する要因
- 原料のかさ密度
- 粒径と粒度分布
- 流動性と付着性
- 搬送距離と立上がり高さ
- 配管径
- 曲がり部の数と形状
- 吸引風量と負圧
- 原料供給量
搬送能力は、空気流量を増やせば単純に比例して増えるわけではありません。風量が小さすぎると粉体が配管内へ堆積し、大きすぎると摩耗、粉体破砕、フィルタ負荷が増えます。
原料を安定して吸い込むためには、吸引ノズルへの空気流入量と粉体供給量のバランスが重要です。
搬送配管の設計
配管径は、搬送量、風速、粉体性状から選定します。細すぎる配管では圧力損失が大きくなり、詰まりやすくなります。太すぎる配管では必要風量が増え、粉体が沈降することがあります。
曲がり部は圧力損失と摩耗が発生しやすい場所です。可能な範囲で曲がりの数を減らし、急な曲率を避けます。摩耗性の高い粉体では、耐摩耗エルボや交換可能な部品を使用します。
水平配管では粉体が底部へ堆積しやすいため、必要な搬送速度を確保します。配管内に段差や突起があると、粉体が引っ掛かる原因になります。
粉体と空気の分離
搬送先では、粉体と空気を確実に分離する必要があります。サイクロンは遠心力を利用して比較的大きな粒子を分離します。細かい粉体はフィルタを使用して捕集します。
フィルタ表面へ粉体が堆積すると吸引抵抗が増えるため、圧縮空気によるパルス洗浄や振動による払い落としを行います。
フィルタの目詰まりが進むと、搬送能力が低下し、吸引ノズルから原料を取り込めなくなります。差圧を監視し、清掃や交換時期を判断します。
排出部の構造
レシーバ内は負圧であるため、排出弁を開けたままにすると外気が流入し、吸引力が低下します。そのため、一定量をためてから搬送を停止し、排出弁を開くバッチ方式が使用されます。
連続排出する場合は、ロータリーバルブや二重ダンパなどを使用し、外気の流入を抑えながら粉体を排出します。
付着しやすい粉体では、ホッパー角度、内面仕上げ、エアノッカー、バイブレータなどを検討します。
計量設備との組合せ
吸引式空気輸送は、原料を計量ホッパーまで搬送する用途に使用できます。ただし、搬送中の吸引力やフィルタの振動が秤へ影響すると、計量値が安定しない場合があります。
計量中は搬送を停止する、レシーバと秤をフレキシブルジョイントで接続する、配管荷重を秤へ伝えないなどの対策を行います。
複数原料を同じ配管で搬送する場合は、配管内の残留原料や交差混入にも注意します。必要に応じて配管洗浄や原料ごとの専用配管を検討します。
搬送できない場合の確認
原料を吸い込まない場合は、ブロワ、フィルタ詰まり、配管漏れ、吸引ノズルの詰まり、供給量過多を確認します。
配管内で詰まりが発生した場合は、曲がり部、水平部、立上がり部を重点的に確認します。吸引風量が不足した状態で原料を多く供給すると、粉体が配管内へ堆積します。
外気漏れが多い場合も、搬送元で必要な負圧を得られません。配管継手、点検口、排出弁、フィルタ取付部の気密性を確認します。
安全上の注意
可燃性粉体を高速で搬送すると、粉体と配管の摩擦によって静電気が発生する可能性があります。配管、レシーバ、集じん機を適切に接地し、絶縁部がある場合は導通を確認します。
粉じん爆発の可能性がある原料では、着火源対策、防爆機器、爆発放散、爆発抑制などを検討します。原料の安全データと使用環境を確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、粉体や粒体の吸引式空気輸送について、原料性状、搬送量、搬送距離、配管経路、受入れ設備などの仕様を確認して検討します。
計量設備との接続、レシーバ、排出弁、PLCによる搬送シーケンスについても、必要な処理能力と運用条件を確認して構成します。
よくある質問
Q. 吸引式空気輸送は粉じんが外へ漏れにくいですか?
A. 配管内が負圧になるため、隙間があっても外気が入りやすく、粉体は外へ漏れにくい方式です。ただし、適切な気密性は必要です。
Q. 長距離搬送にも使用できますか?
A. 搬送距離、配管径、原料性状、ブロワ能力によって対応範囲が決まります。長距離では圧力損失が大きくなります。
Q. 複数の原料容器から吸引できますか?
A. 切替弁や吸引ノズルを設けることで、複数の搬送元から一つの搬送先へ供給できる場合があります。
Q. 配管が詰まる主な原因は何ですか?
A. 風量不足、原料供給過多、フィルタ詰まり、配管漏れ、曲がり部への堆積などが考えられます。
Q. 計量ホッパーへ直接搬送できますか?
A. 吸引力や配管荷重が計量値へ影響しない構造を検討することで対応できる場合があります。