光ファイバ通信とは、電気信号を光信号へ変換し、細い光ファイバケーブルを通してデータを伝送する通信方式です。工場、プラント、建屋間、長距離設備などで、PLCネットワーク、監視システム、カメラ、上位通信の伝送に利用されます。
金属導体を使用する通信と異なり、インバーター、モーター、大電流配線などから発生する電磁ノイズの影響を受けにくい点が特長です。また、異なる建屋間で接地電位差がある場合でも、電気的に分離して通信できます。
ハカルプラスでは、通信距離、速度、コネクタ、配線経路、保守方法を確認し、光メディアコンバータ、産業用スイッチ、光ケーブルを含む通信構成を検討します。
光ファイバ通信の主な用途
- 工場建屋間のEthernet通信
- 制御盤間の長距離PLC通信
- 高ノイズ環境での設備ネットワーク
- 監視カメラ・画像データの伝送
- 落雷や接地電位差の影響を受ける区間
- リングネットワークや冗長経路の構築
光ファイバの基本
光ファイバは、中心部のコアと、その周囲のクラッドによって光を内部へ閉じ込めて伝送します。
送信側の光トランシーバが電気信号を光へ変換し、受信側で再び電気信号へ戻します。
電磁ノイズに強い理由
光ファイバ内部を流れるのは電流ではなく光であるため、電磁誘導や静電結合によるノイズの影響を受けません。
インバーター、溶接機、大型モーターの近くを通る通信経路でも、銅線通信より安定しやすい場合があります。
電気的絶縁
光ファイバは金属導体で設備間を接続しないため、接地電位差による循環電流が流れません。
別棟間や屋外設備との通信で、雷サージや地絡電流の回り込みを抑える効果があります。ただし、電源線や金属補強材など別経路の影響は確認が必要です。
シングルモード光ファイバ
シングルモード光ファイバは、細いコアを使用し、長距離・高速通信に適しています。
工場建屋間、構内幹線、長距離設備などで使用されます。対応する光トランシーバの波長と距離を確認します。
マルチモード光ファイバ
マルチモード光ファイバは、シングルモードより太いコアを持ち、比較的短距離の構内通信で利用されます。
光部品を選びやすい場合がありますが、距離と通信速度の組み合わせに制限があります。
シングルモードとマルチモードの選定
通信距離、将来の速度、既設設備、コストから選定します。
異なる種類の光ファイバやトランシーバを直接接続すると、通信できない、損失が大きくなる場合があります。両端の仕様を一致させます。
波長
光通信では、850nm、1310nm、1550nmなどの波長が使用されます。
使用する光ファイバ、通信距離、光トランシーバによって適合波長が異なります。送信側と受信側の波長仕様を確認します。
二心通信
送信用と受信用に別々の光ファイバを使用する方式です。
一般的な光Ethernetでは、送信と受信の二本を一組として使用します。接続時に送信側と相手の受信側を交差させます。
一心双方向通信
一本の光ファイバに異なる波長の光を使い、双方向通信する方式があります。
ファイバ本数を減らせますが、両端で使用する送受信波長の組み合わせが異なります。対になる光モジュールを正しく選定します。
光コネクタ
光ファイバの接続には、LC、SCなどのコネクタが使用されます。
コネクタ形状だけでなく、端面研磨方式、シングルモード・マルチモード、心数を確認します。変換アダプタを使用する場合も損失を考慮します。
コネクタ端面の清掃
光コネクタ端面へ微細なほこりや油分が付着すると、通信損失が増えます。
接続前に専用クリーナーで清掃し、端面を手で触れないようにします。未使用コネクタには防塵キャップを取り付けます。
光損失
送信光が受信側へ届くまでに、ケーブル、コネクタ、融着、曲げなどによって減衰します。
送信出力、受信感度、配線損失から光パワーバジェットを確認し、必要な余裕を持たせます。
光パワーバジェット
送信器の最小出力と受信器の必要感度との差が、許容できる損失の目安となります。
コネクタ数、融着点、ケーブル長、経年変化、温度を加味して計算します。
曲げ半径
光ファイバを小さく曲げすぎると、光が外へ漏れて損失が増えたり、ケーブルが破損したりします。
ケーブルごとに最小曲げ半径が定められているため、盤内配線、配管、余長処理で守ります。
引張力
敷設時に強く引っ張ると、光ファイバへ損傷が生じる可能性があります。
許容張力を守り、専用の牽引部材を使用します。コネクタ部分を直接引っ張らないようにします。
光メディアコンバータ
銅線Ethernetと光Ethernetを相互変換する装置です。
既設PLCやパソコンが光ポートを持たない場合に利用できます。通信速度、全二重・半二重、光種別、使用温度を確認します。
SFPモジュール
対応するスイッチや通信機器へ差し込み、光通信機能を追加する交換式モジュールです。
通信速度、波長、距離、コネクタ、メーカー互換性を確認します。両端で適合するモジュールを使用します。
産業用スイッチ
工場内では、温度、振動、電源変動へ対応した産業用Ethernetスイッチを使用します。
光ポート数、リング冗長、電源二重化、管理機能、アラーム接点などを確認します。
冗長リング
光ファイバをリング状に敷設し、一箇所の断線時に反対側の経路へ切り替える構成があります。
対応スイッチと冗長プロトコルが必要です。切替時間が設備通信の許容範囲内かを確認します。
屋外敷設
屋外では、耐候性、防水、温度、紫外線、動物被害を考慮します。
架空、地中、配管内などの敷設方法に適したケーブルを選び、建屋引込部の防水と余長を確保します。
金属補強材
光ケーブル自体に金属製の補強材や外装が含まれる製品があります。
落雷や電気的絶縁を重視する場合は、完全非金属ケーブルを検討します。ケーブル仕様を確認します。
光ケーブルの接続
コネクタ付きケーブルをそのまま接続する方法と、現地で融着接続する方法があります。
長距離敷設や配管通線では、融着接続が必要になる場合があります。融着部は保護ケースへ収納します。
OTDR測定
OTDRは、光パルスを送って反射・損失を測定し、断線位置や接続損失を確認する装置です。
敷設試験、障害調査、経年変化の確認に利用できます。測定条件とファイバ種類を合わせます。
受光レベル監視
対応スイッチや光モジュールでは、送受信光レベルを確認できる場合があります。
受光レベルが徐々に低下している場合は、コネクタ汚れ、曲げ、融着部劣化などを疑います。
異常時の確認
リンクしない場合は、光種別、波長、送受信の接続、コネクタ、SFP、電源を確認します。
断続的に切れる場合は、端面汚れ、曲げ半径、受光レベル、温度を点検します。長距離区間ではOTDRで損失位置を確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、通信距離、ネットワーク速度、設置環境、既設機器のポートを確認します。
光メディアコンバータ、産業用スイッチ、シングルモード・マルチモード光ファイバを組み合わせ、建屋間や高ノイズ環境の設備通信を検討します。
よくある質問
Q. 光ファイバは電磁ノイズの影響を受けますか?
A. 光信号で伝送するため、一般的な電磁ノイズの影響を受けにくい方式です。
Q. シングルモードとマルチモードを接続できますか?
A. 基本仕様が異なるため、対応機器や変換装置を使わずに直接接続することは避けます。
Q. 光コネクタが汚れると通信できなくなりますか?
A. 汚れによって損失が増えるため、専用クリーナーでの清掃が重要です。
Q. 建屋間通信へ利用できますか?
A. 長距離、接地電位差、雷サージの影響を抑えやすく、建屋間通信に適しています。
Q. 既設Ethernetを一部だけ光化できますか?
A. 光メディアコンバータや光ポート付きスイッチを使用して、必要区間だけ光化できます。
関連ワード
光通信とは、電気信号を光信号へ変換し、光ファイバーを通して情報を伝送する通信方式です。金属製の通信線では電圧や電流の変化でデータを伝えますが、光通信では光の点滅や変調によってデータを送ります。
光ファイバーは電気を通さないため、モーター、インバーター、溶接機などから発生する電磁ノイズの影響を受けにくいことが特徴です。また、通信経路を電気的に分離できるため、離れた建屋間や屋外をまたぐ通信で、雷サージや接地電位差の影響を抑える方法としても使用されます。
産業設備では、RS-485、Modbus、Ethernetなどの通信信号を光変換器や光メディアコンバータで光信号へ変換し、長距離を伝送する構成が多く用いられます。
光通信の仕組み
光通信システムは、送信側の光変換器、光ファイバーケーブル、受信側の光変換器を基本として構成されます。送信側では、PLC、計測機器、パソコン、スイッチングハブなどから出力された電気信号を光信号へ変換します。
光信号は光ファイバー内を伝わり、受信側の変換器で再びRS-485やEthernetなどの電気信号へ戻されます。接続する機器から見れば、途中の伝送路が光ファイバーへ置き換わっただけで、通常の通信と同様にデータを送受信できます。
光ファイバーは、光を伝えるコアと、その周囲を覆うクラッドで構成されます。コアとクラッドの屈折率の違いにより、光を内部で反射させながら遠方まで伝送します。
光通信を使用する主な場面
- 通信距離が長く、銅線では信号減衰が問題になる場合
- モーターやインバーターなどのノイズ源が多い工場
- 建屋間や屋外を横断して通信する設備
- 雷やサージの影響を受けやすい通信経路
- 接地電位差が生じる可能性のある離れた設備間
- 多数の機器や大量のデータを高速に通信するシステム
例えば、工場内の離れた建屋に設置した計測盤と中央監視装置を接続する場合や、屋外設備の計測データを事務所へ送る場合に使用されます。対応距離は光ファイバーや変換器の仕様によって異なり、数km以上の伝送に対応する構成もあります。
光通信の主な特長
長距離通信に適している
電気信号を使用する通信線では、距離が長くなるほど信号の減衰や波形劣化が大きくなります。光通信は伝送損失が比較的小さく、長距離でも安定した通信経路を構成しやすい方式です。
電磁ノイズの影響を受けにくい
光ファイバーには電流が流れないため、動力線、インバーター、電磁接触器などから発生する電磁ノイズの影響を受けにくくなります。銅線通信でエラーや再送が多い環境では有効な対策となる場合があります。
通信経路を電気的に絶縁できる
送信側と受信側が光ファイバーで接続されるため、通信線を通じた電気的なつながりを遮断できます。建屋ごとに接地状態が異なる場合の接地電位差や、通信線を伝わるサージを抑える目的で利用されます。
高速・大容量通信へ対応しやすい
光通信は高速Ethernetにも利用でき、計測値、監視データ、画像、ログなど多くの情報を伝送できます。ただし、実際の通信速度は、接続機器、変換器、ネットワーク規格によって決まります。
光ファイバーの主な種類
マルチモード光ファイバー
比較的太いコア内を複数の経路で光が伝わる方式です。工場内や建屋内など、比較的短い距離のネットワークで使用されます。長距離になると各経路の到達時間差によって信号が広がり、通信距離や速度が制限されます。
シングルモード光ファイバー
細いコア内を主に1つの経路で光が伝わる方式です。信号の広がりを抑えられるため、長距離・高速通信に適しています。離れた建屋間や数km以上の通信で使用されます。
シングルモードとマルチモードでは、使用する光源、変換器、コネクタ、ケーブル仕様が異なります。異なる種類を組み合わせると通信できない、または通信が不安定になるため、両端で仕様を統一します。
光変換器の役割
光変換器は、RS-485やEthernetなどの電気信号と光信号を相互変換する機器です。通信経路の両端へ設置し、接続機器の通信仕様に合わせて選定します。
Ethernetでは、光メディアコンバータや光ポート付き産業用スイッチングハブを使用します。RS-485では、シリアル信号と光信号を変換する専用機器を使用します。
選定時は、通信規格、通信速度、伝送距離、シングルモード・マルチモード、コネクタ、芯数、電源電圧、使用温度、設置方法を確認します。工場内では、振動、粉じん、温度変化、電源瞬断を考慮し、産業用機器が適する場合があります。
設計・施工上のポイント
通信規格と速度を合わせる
接続機器がRS-485、Ethernet、専用シリアル通信のどれを使用するか確認します。コネクタ形状が同じでも通信方式や速度が異なる場合があるため、物理的な接続だけでなく通信条件を一致させます。
RS-485では通信速度、データ長、パリティ、ストップビットなども前後機器で合わせます。Ethernetでは通信速度、IPアドレス、ネットワーク構成を確認します。
伝送距離と光損失を確認する
光ファイバー内では距離に応じて光が減衰します。また、コネクタ、融着接続、アダプタ、曲げによっても損失が加わります。
送信光出力と受信感度の差を光パワーバジェットと呼び、配線経路全体の損失がその範囲内に収まるように設計します。距離だけでなく、接続箇所数や将来の劣化を考慮して余裕を持たせます。
コネクタと芯数を統一する
光コネクタには複数の種類があります。また、送信用と受信用に2芯を使う構成と、1芯で双方向通信する構成があります。
変換器、光ケーブル、接続箱のコネクタと芯数を統一し、送信側と受信側を取り違えないよう管理します。2芯式では、一方の送信を相手側の受信へ接続します。
許容曲げ半径と引張荷重を守る
光ファイバーを小さな半径で曲げると光が外へ漏れ、通信損失が増加します。ケーブルごとの許容曲げ半径を守り、配線時に強く引っ張る、踏む、押しつぶすといった扱いを避けます。
盤内やラック内では、扉の開閉や機器交換時にコネクタへ力が加わらないよう、余長、固定位置、保護チューブを検討します。
コネクタ端面を清潔に保つ
光コネクタ端面のほこり、油分、傷は、通信損失や反射の増加につながります。接続前に専用の清掃用品で端面を清掃し、未使用時は保護キャップを取り付けます。
屋外環境へ対応する
屋外配線では、紫外線、雨水、温度変化、結露、動物による損傷を考慮します。屋外対応ケーブル、保護管、埋設管を使用し、建屋への引込部や接続箱には防水・浸水対策を行います。
金属製の外装やテンションメンバを含む光ケーブルでは、光芯自体は絶縁されていても金属部を通じてサージが伝わる可能性があります。雷対策を重視する場合は、ケーブル構造も確認します。
通信異常の確認と復旧
通信が停止した場合は、まず光変換器の電源、光リンク表示、電気側リンク表示、ケーブル接続、送受信方向を確認します。光リンクが不成立の場合は、コネクタ汚れ、曲げ、断線、芯線の取り違え、両端機器の仕様不一致が考えられます。
光リンクが成立していてもデータ通信できない場合は、RS-485の通信条件、終端抵抗、機器アドレス、EthernetのIPアドレスやネットワーク設定を確認します。
PLCや監視システムでは、一定時間データを受信できない場合に通信異常を検出します。通信断中に古いデータを正常値として表示し続けないよう、最終受信時刻や通信状態を表示することも重要です。
通信復旧後は、自動的にデータ収集を再開できる場合があります。ただし、通信を使って設備へ運転指令を送る場合は、通信断前の指令を再実行しないよう、指令番号や状態を照合します。
保守と設備更新
定期点検では、変換器の電源・リンク表示、光コネクタの固定、ケーブルの曲げや損傷、接続箱への水分侵入を確認します。通信が不安定な場合は、光パワーメータなどで受光レベルを測定すると、損失増加を切り分けやすくなります。
光変換器を更新する場合は、電気側の通信規格だけでなく、光ファイバーの種類、波長、コネクタ、芯数、通信速度を確認します。外形やコネクタが同じでも、シングルモードとマルチモード、送受信波長が異なると接続できません。
既設通信を光化する場合は、通信経路の一部だけを光へ置き換えることもできます。既存機器の通信設定を変更せず、両端へ変換器を追加して対応できる場合があります。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、通信距離が長い場合、ノイズが多い工場内を通過する場合、建屋間や屋外へ通信線を配線する場合に、光通信を用いたシステム構成を検討します。
RS-485、Modbus、Ethernetなどの通信仕様、伝送距離、通信速度、設置環境を確認し、光変換器、光ファイバー、産業用スイッチングハブ、接続機器を選定します。
計測機器、PLC、制御盤、パソコン、データ収集装置、上位監視システムを含め、光区間だけでなく前後の通信条件も整理します。盤内機器配置、電源、通信異常監視、タッチパネルへの状態表示についても、設備仕様に応じて設計します。
既設の銅線通信から光通信への更新についても、既設ケーブル経路、盤内スペース、通信方式、停止可能時間を確認し、移行方法を検討します。
よくある質問
Q. 光リンク表示が点灯しない場合は何を確認しますか?
A. 変換器の電源、送受信芯の接続、コネクタ汚れ、ケーブルの曲げ・断線、両端の光ファイバー種類や波長が一致しているかを確認します。
Q. 光リンクは成立しているのに通信できない原因は何ですか?
A. RS-485の通信速度やパリティ、Modbusアドレス、EthernetのIPアドレスなど、電気側の通信設定が一致していない可能性があります。
Q. LANケーブルの一部だけを光ファイバーへ変更できますか?
A. 両端へ光メディアコンバータや光ポート付きスイッチを設置すれば変更できる場合があります。Ethernet規格、通信速度、光ファイバー仕様を確認します。
Q. 光ファイバーへ変更すれば雷対策は不要ですか?
A. 光芯を通じたサージ伝搬は抑えられますが、変換器の電源線、接地線、金属外装など別経路から影響を受ける可能性があります。設備全体で雷対策を検討します。
Q. 既設のマルチモード光ファイバーを流用できますか?
A. 新しい変換器が既設ファイバーの種類、波長、コネクタ、通信速度へ対応していれば流用できる場合があります。受光レベルとケーブル状態も確認します。