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Windows Embedded Standard 2009(WES2009)
(Windows Embedded Standard 2009(WES2009))
WES2009は、「Windows Embedded Standard 2009」の略称で、Microsoftが提供していた組込み機器向けのオペレーティングシステムです。
Windows XP Professional Service Pack 3を基盤としており、一般的なWindowsの機能から、装置に必要な機能を選択して構成できることが特長です。
Windows用に開発されたソフトウェアや周辺機器を活用しやすいため、産業用端末、表示装置、監視システム、計量制御盤などで利用されてきました。
ハカルプラスでも、仕様が複雑化した一部の計量制御盤において、従来のWindows用ソフトウェア資産を活用し、開発期間を短縮する目的でWES2009を採用した実績があります。
WES2009の主な特長
Windows XP系ソフトウェアを活用しやすい
WES2009はWindows XP Professional SP3を基盤としているため、当時のWindows向けアプリケーション、通信ライブラリ、デバイスドライバーなどを利用しやすいOSです。
既存ソフトウェアを流用できれば、専用の組込みOS向けに一から開発する場合と比べて、開発期間を短縮できることがあります。
ただし、すべてのWindows XP用ソフトウェアがそのまま動作するわけではありません。WES2009に組み込んだ機能、使用するドライバー、外部ライブラリなどを確認する必要があります。
必要な機能を選んで構成できる
一般的なパソコン用Windowsには多くの機能が含まれますが、WES2009では用途に必要な機能を選択してOSを構成できます。
- 画面表示・タッチ操作
- Ethernet・シリアル通信
- USB機器・記録媒体への対応
- データベース接続
- プリンター・帳票出力
- .NET Frameworkを利用するアプリケーション
不要な機能を省くことで、ストレージ容量や管理対象を抑え、特定用途に限定した専用端末を構築できます。
専用端末として運用できる
起動後に計量・監視ソフトウェアを自動的に立ち上げ、利用者がWindowsのデスクトップを操作しない構成にできます。
OSや設定の変更を制限し、決められたアプリケーションだけを使用することで、計量制御盤や表示端末として運用できます。
計量制御盤での利用
計量制御盤では、PLCや計量コントローラによる設備制御に加えて、パソコン側で多くの情報を扱うことがあります。
- 計量設定値・配合情報の管理
- 計量値・設備状態の表示
- 品種・原料・ロット情報の管理
- 製造実績・計量実績の保存
- 日報・月報・帳票の作成
- PLCや計測機器との通信
- 生産管理・基幹システムとの連携
機能が複雑になると、PLCやタッチパネルだけで処理するよりも、Windows上で動作する専用ソフトウェアを組み合わせる方が適する場合があります。
WES2009を利用することで、従来のWindows向けソフトウェアや通信部品を活用しながら、制御盤へ組み込む専用端末を構築できました。
PLC・計量コントローラとの役割分担
WES2009端末は、設備の安全制御を直接担当するものではありません。一般的には、次のように役割を分担します。
- PLCが設備の順序制御とインターロックを行う
- 計量コントローラが重量演算と計量動作を行う
- WES2009端末が設定・表示・実績保存を行う
- 端末が帳票作成や上位システム連携を行う
端末やアプリケーションが停止した場合でも、設備を安全に停止できるよう、制御と情報処理を分離して設計します。
書込み保護と電源断対策
WES2009では、ストレージへの書込みを一時領域へ転送し、OS領域の変更を抑える書込み保護機能を利用できる構成があります。
専用端末では、不意の電源断や誤操作によるOS破損を防ぐために有効ですが、すべてのデータを書込み禁止にすると、設定や実績も保存できません。
そのため、OS、アプリケーション、設定、実績データの保存領域を分け、どの情報を電源再投入後も保持するかを設計します。
WES2009のサポート終了による課題
WES2009はすでにMicrosoftのサポートが終了しており、新しいセキュリティ更新や不具合修正は提供されません。
既設設備で動作を継続できる場合でも、次のような課題があります。
- 新たな脆弱性が修正されない
- 交換用端末を入手しにくい
- 新しい周辺機器用ドライバーがない
- 新しい通信方式や暗号化方式に対応できない
- 現行のデータベースや上位システムと接続できない
- 故障後に同じ環境を再構築できない可能性がある
現在は新規設備へ採用するOSではなく、既設設備の保守と更新を計画する対象として扱います。
継続使用する場合の対策
設備更新までWES2009を使用する場合は、外部からの脅威を減らし、故障時に復旧できる状態を整えます。
- インターネットへ直接接続しない
- 設備ネットワークと社内ネットワークを分離する
- 通信先と使用ポートを制限する
- 不要なサービスを停止する
- 私物のUSBメモリを接続しない
- ストレージの複製を保管する
- 設定ファイル・ソースコード・復旧手順を管理する
- 交換用端末や代替機を検討する
ネットワークから隔離していても、USBメモリや保守用パソコンを介してマルウェアが侵入する可能性があります。可搬媒体の管理も必要です。
新しい環境へ移行する際の調査
WES2009端末の更新では、OSだけを交換すればよいとは限りません。既存のアプリケーションと周辺機器を含めて調査します。
- 端末のCPU・メモリ・ストレージ
- 計量・監視アプリケーション
- 開発言語とソースコード
- ActiveXや外部ライブラリ
- PLC・計量コントローラとの通信
- USB機器・通信カードのドライバー
- データベースと保存形式
- プリンター・帳票・バーコード機器
- 上位システムとの連携仕様
旧ソフトウェアで使用している部品やドライバーが新しいOSに対応していない場合は、アプリケーションの改修や再構築が必要です。
移行方法の選択
更新先には、現行のWindows IoT系OSを搭載した産業用端末、Linuxを搭載したSBC、産業用コンピュータなどがあります。
既存のWindowsアプリケーションや周辺機器を活用する場合はWindows系、データ収集やWeb画面を中心に再構築する場合はLinux系が候補になります。
移行時は、従来機能を再現するだけでなく、画面操作性、データベース、ネットワークセキュリティ、遠隔監視、バックアップ方法などの改善も検討します。
更新時の動作確認
新しい端末では、アプリケーションが起動することだけでなく、設備全体として正しく動作することを確認します。
- PLC・計量コントローラとの通信
- 設定値の送受信
- 計量実績の保存と検索
- 警報・通信異常時の処理
- 帳票・CSVの出力内容
- プリンターやUSB機器の動作
- 停電・再起動後の復旧
設備停止時間を短縮するため、事前に模擬機器を使って検証し、旧端末へ戻す切り戻し手順も準備します。
ハカルプラスのWES2009対応
ハカルプラスでは、一部の計量制御盤でWES2009を搭載したシステムを開発した実績があります。
既設システムでは、端末構成、計量・監視ソフトウェア、PLC通信、データベース、周辺機器を確認し、保守継続、新しいWindows環境への移行、システム再構築などを検討します。
OSだけでなく、制御盤、PLC、計量コントローラ、通信、実績管理まで含め、設備全体として更新方法を設計します。
よくある質問
Q. WES2009端末はすぐに交換する必要がありますか?
A. 稼働状況やネットワーク構成によって緊急度は異なります。ただし、故障や部品入手不能に備え、バックアップと更新計画を早めに準備する必要があります。
Q. WES2009端末をインターネットへ接続できますか?
A. サポートが終了しているため、直接接続は避けます。必要な通信は、ネットワーク分離、ファイアウォール、ゲートウェイなどを利用して制限します。
Q. ストレージを複製すれば別の端末で起動できますか?
A. CPU、チップセット、ストレージ接続、ドライバー、ライセンスなどが異なると起動できない場合があります。同型機または交換候補機で事前確認が必要です。
Q. 新しいWindowsへアプリケーションをそのまま移行できますか?
A. 外部ライブラリ、ActiveX、通信ドライバーなどが対応していない場合があります。既存仕様を調査し、改修または再構築します。
Q. ソースコードがない場合でも更新できますか?
A. 画面、通信、データベース、帳票、設備動作を調査して再構築できる場合があります。ただし、仕様解析と動作確認に多くの工数が必要になることがあります。
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