施肥判断支援とは、作物、土壌、培養液、天候、生育などの情報をもとに、肥料を追加する必要があるか、いつ、どの程度施用するかを判断しやすくする仕組みです。測定機器やデータ管理システムが肥料を一律に決定するのではなく、生産者や栽培管理者の判断に必要な情報を整理して提供します。
従来の施肥では、標準的な施肥量、経験、葉色、作物の外観などをもとに判断することが一般的です。これらに植物体の硝酸態窒素、土壌分析、培養液、気象、過去の収量などを加えることで、作物の状態に応じた施肥を検討しやすくなります。
施肥判断が必要な理由
肥料の必要量は、同じ作物でも圃場、品種、作型、生育段階、天候によって異なります。
肥料が不足すると、葉色の低下、生育遅延、収量低下などが起こる可能性があります。一方、過剰に施用すると、徒長、品質低下、病害、肥料費の増加、地下水や排液への流出につながる場合があります。
決められた量を毎回施用するだけでは、実際の吸収状態と合わないことがあります。測定結果を利用して、追肥の要否や施肥量を見直すことが重要です。
施肥判断に利用する主な情報
- 植物体の硝酸態窒素
- 葉色やクロロフィルの測定値
- 土壌中の硝酸態窒素
- 培養液や排液の成分
- ECとpH
- 草丈、葉数、茎径などの生育情報
- 日射量、温度、降雨量
- かん水量と排液量
- 過去の施肥量、収量、品質
一つの測定値だけではなく、複数の情報を組み合わせて判断することで、施肥以外の要因も考慮できます。
植物体を測定する意義
土壌や培養液に肥料成分があっても、低温、根傷み、過湿などによって作物が吸収できていない場合があります。
植物体の栄養状態を測定すると、実際に作物が吸収した結果を確認できます。葉色、硝酸態窒素、植物体成分などは、追肥判断に利用できる指標です。
ただし、植物体内の成分は、生育段階や日照によっても変化します。対象作物に合った採取部位や測定条件を設定します。
土壌測定との組合せ
植物体の値が低い場合でも、土壌中に十分な窒素が残っていることがあります。この場合、肥料不足ではなく、根の吸収不良が原因の可能性があります。
反対に、植物体の値が低く、土壌中の硝酸態窒素も少ない場合は、窒素不足の可能性が高くなります。
植物と土壌の両方を測定することで、肥料を追加するべきか、土壌水分や根の環境を改善するべきかを判断しやすくなります。
生育段階による施肥判断
作物が必要とする肥料量は、生育段階によって変化します。定植直後、栄養成長期、開花期、果実肥大期、収穫期などで、窒素要求量は同じではありません。
生育初期に窒素が多すぎると、茎葉が過度に成長する場合があります。収穫期に不足すると、葉の機能や果実肥大へ影響する可能性があります。
測定結果は、生育段階に対応した目標範囲と比較します。全期間を通じて同じ基準値を使用することは適切でない場合があります。
追肥判断の基本的な流れ
一般的な判断の流れは次のとおりです。
- 作物と生育段階を確認する
- 決められた部位を測定する
- 過去値や目標範囲と比較する
- 葉色、生育、根、病害の状態を確認する
- 土壌または培養液の状態を確認する
- 天候とかん水条件を確認する
- 追肥の要否、量、方法を決める
- 施肥後に再測定して変化を確認する
測定と施肥を一度だけ行うのではなく、結果を再確認して次回の判断へつなげます。
測定値が低い場合の考え方
植物体の窒素指標が低い場合は、肥料不足の可能性があります。しかし、すぐに追肥する前に、根域の水分、温度、pH、根傷みなどを確認します。
過湿で根が酸素不足になっている場合、肥料を追加しても吸収が改善しないことがあります。また、土壌が乾燥している場合も、肥料成分が根まで移動しにくくなります。
施肥以外の原因を確認したうえで、必要な量を段階的に追加します。
測定値が高い場合の考え方
植物体の硝酸態窒素が高い場合は、窒素が十分に供給されている、または植物体内で利用されず蓄積している可能性があります。
次回の窒素施肥を減らす、施肥間隔を延ばす、他の肥料成分とのバランスを確認するなどの対応を検討します。
日照不足や低温によって硝酸の代謝が遅れている場合もあるため、天候と生育を併せて確認します。
基準値のつくり方
施肥判断に利用する目標値は、作物、品種、作型、測定部位、測定方法ごとに設定します。
公的な栽培指針や試験研究機関のデータを参考にしながら、自社圃場で良好な収量・品質が得られたときの測定値を蓄積します。
良好な結果が得られた作型の測定範囲を基準として使用することで、圃場条件に合った判断基準を作りやすくなります。
施肥量を調整する方法
施肥量の調整には、1回の量を減らす方法と、施肥間隔を変える方法があります。
一度に多量を施すより、作物の吸収に合わせて少量ずつ分けて施用する分施が適する場合があります。液肥では、濃度と施用液量の両方を確認します。
施用する肥料成分量は、概念的に次のように求めます。
施肥成分量=肥料使用量×肥料中の成分割合
肥料製品の重量だけでなく、窒素などの有効成分量で比較することが重要です。
判断支援システムの役割
施肥判断支援システムでは、測定値、施肥履歴、生育、気象などをまとめて表示します。過去値とのグラフ比較や、設定した範囲から外れた場合の表示ができます。
システムが示す結果は判断材料であり、実際の施肥は現場の状態を確認して決定します。
測定条件が不統一な場合は、データが多くても正確な比較が難しくなります。入力項目と測定手順を標準化します。
施肥後の効果確認
追肥を行った後は、一定期間後に同じ条件で再測定します。植物体の値、生育、葉色などがどのように変化したかを確認します。
期待した変化がない場合は、肥料の種類、施用位置、根の状態、かん水などを見直します。
施肥量と測定値の変化を記録することで、次回の施肥量を調整するための実績データになります。
過剰施肥を防ぐための活用
作物体内や土壌中に窒素が十分残っている場合は、慣例的な追肥を見送る判断ができます。
不要な施肥を減らすことで、肥料費を抑え、地下水や排液への成分流出を減らせる可能性があります。
ただし、過度に減肥して収量や品質を低下させないよう、測定と生育確認を継続します。
データ管理のポイント
測定値には、施肥、かん水、天候、生育、収量、品質を関連付けます。同じ圃場でも作型や品種が違う場合は、別の条件として管理します。
担当者が判断理由を記録しておくと、後から施肥結果を検証しやすくなります。
データを蓄積することで、経験に基づく判断を組織内で共有しやすくなります。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、植物体の硝酸態窒素などの測定値を利用した施肥判断支援について、対象作物、測定部位、栽培方法、管理項目などの条件を確認して検討します。
測定履歴、施肥量、生育、収量などを関連付けたデータ管理についても、必要な運用や画面構成を確認して対応できる場合があります。
よくある質問
Q. 測定器が自動的に施肥量を決めてくれますか?
A. 測定値は判断材料になります。生育、土壌、天候なども確認し、栽培管理者が施肥内容を決定します。
Q. 測定値が低ければすぐに追肥すべきですか?
A. 根傷み、低温、過湿などによる吸収不良も考えられるため、他の状態を確認してから判断します。
Q. 作物ごとに判断基準は異なりますか?
A. 作物、品種、生育段階、測定部位、測定方法によって異なります。
Q. 過去の良好な栽培データを基準にできますか?
A. 同じ条件で測定したデータであれば、収量や品質が良好だった作型を判断基準として活用できます。
Q. 施肥後にも測定が必要ですか?
A. 施肥の効果を確認し、次回の施肥量を改善するために、同じ条件で再測定することが有効です。
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窒素施肥管理とは、作物の生育段階や栄養状態に合わせて、窒素肥料の種類、施用量、施用時期、施用方法を調整することです。収量や品質を確保しながら、肥料の過不足、肥料費、環境への流出を抑えることを目的とします。
窒素は、葉や茎の生育、葉緑素、タンパク質の形成に必要な主要養分です。不足すると生育が抑えられる一方、過剰に与えると茎葉が伸びすぎる、品質が低下する、病害が発生しやすくなるなどの問題が生じる場合があります。
植物における窒素の役割
窒素は、アミノ酸、タンパク質、核酸、葉緑素などの構成成分です。植物の細胞形成や光合成に関係し、特に茎葉の生育へ大きく影響します。
窒素が不足すると、一般に古い葉から黄化が現れ、生育が遅くなることがあります。作物によっては、葉数、茎径、果実肥大、収量にも影響します。
ただし、葉が黄色くなる原因は窒素不足だけではありません。根傷み、病害、低温、他の養分不足なども考慮します。
窒素肥料の主な形態
アンモニア態窒素
アンモニウムイオンなどの形で供給される窒素です。土壌へ保持されやすい一方、微生物の働きによって硝酸態窒素へ変化します。
硝酸態窒素
硝酸イオンとして存在する窒素です。植物が吸収しやすい形態ですが、水とともに移動しやすく、降雨や過剰かん水によって流亡する可能性があります。
尿素態窒素
尿素として施用され、土壌中でアンモニア態窒素へ変化した後、植物に利用されます。施用条件によってはアンモニア揮散が生じる場合があります。
有機態窒素
堆肥や有機質肥料などに含まれ、微生物による分解を経て植物が吸収可能な形になります。温度や水分によって供給速度が変化します。
基肥と追肥
基肥は、播種や定植前に施用する肥料です。初期生育に必要な養分を供給します。
追肥は、生育途中に追加する肥料です。作物の吸収量が増える時期や、測定によって不足が確認された場合に施用します。
全量を基肥として一度に施すと、生育初期に利用しきれない窒素が流出する可能性があります。作物の吸収時期に合わせて分けて施用する分施が有効な場合があります。
窒素施肥量の考え方
必要な窒素量は、目標収量、作物の吸収量、土壌から供給される窒素量、肥料利用率などから検討します。
概念的には、次のように考えます。
必要窒素施肥量=作物が必要とする窒素量-土壌や有機物から供給される窒素量
実際には、施用した肥料のすべてを作物が吸収するわけではありません。流亡、揮散、土壌への残留などを考慮します。
肥料製品量への換算
肥料袋の表示には、窒素成分の割合が記載されています。必要な肥料製品量は、次のように求めます。
肥料製品量=必要窒素量÷肥料中の窒素割合
例えば、窒素成分10%の肥料で窒素1kgを施用する場合、肥料製品としては10kgが必要です。
複合肥料では、リン酸やカリウムも同時に供給されるため、他成分が過剰にならないか確認します。
生育段階に応じた管理
作物の窒素吸収量は一定ではありません。定植直後は少なく、生育が進むと増加し、収穫期には低下する作物もあります。
生育初期に窒素を過剰に与えると、根より茎葉が優先して成長することがあります。果菜類では、開花や着果への影響も考慮します。
生育段階ごとに目標となる植物体の窒素状態を設定し、測定結果を見ながら追肥を調整します。
植物体測定による管理
葉色、クロロフィル、植物体の硝酸態窒素などを測定すると、作物が実際に吸収した窒素の状態を確認できます。
測定値が目標範囲より低い場合は追肥を検討し、高い場合は次回の施肥を減らす、または延期する判断ができます。
非破壊測定を利用すると、同じ株を繰り返し測定し、施肥後の変化を確認できます。
土壌診断との組合せ
土壌中に硝酸態窒素が多く残っている場合は、追加施肥を減らせる可能性があります。植物体の測定値と土壌分析を組み合わせることで、肥料不足と吸収不良を区別しやすくなります。
有機物の多い土壌では、施肥以外から窒素が供給されます。気温が高くなると有機物の分解が進み、想定以上に窒素が供給される場合があります。
かん水との関係
硝酸態窒素は水に溶けて根へ移動します。そのため、かん水量が少なすぎると肥料が根へ届きにくくなり、多すぎると根域外へ流亡する可能性があります。
液肥を利用する養液土耕や養液栽培では、肥料濃度だけでなく、1回の施用液量と回数を管理します。
排液が発生する場合は、排液量や硝酸態窒素濃度を確認し、供給した肥料がどの程度利用されているかを評価します。
天候による調整
日射が多く生育が活発な時期は、窒素吸収量が増える場合があります。一方、低温や日照不足では、生育と窒素代謝が低下することがあります。
天候不良時に平常時と同じ量を施肥すると、植物体や土壌に窒素が蓄積する可能性があります。
週間天気、生育速度、土壌水分などを確認して、施肥量と時期を調整します。
過剰施肥の主な影響
- 茎葉の過繁茂や徒長
- 果実品質や糖度への影響
- 病害虫への抵抗性低下
- 成熟や収穫の遅れ
- 肥料費の増加
- 土壌への塩類集積
- 地下水や排液への硝酸流出
窒素不足を避けるだけでなく、必要以上に与えないことも重要です。
窒素不足の主な原因
施肥量不足のほか、降雨による流亡、根域の乾燥、低温、根傷み、土壌pHなどが関係します。
窒素不足が疑われる場合は、葉色や植物体測定に加え、根や土壌の状態を確認します。肥料を増やすだけでは改善しない場合があります。
記録管理
施肥日、肥料名、施用量、窒素成分量、施用方法を記録します。植物体測定、土壌分析、生育、収量、品質も関連付けます。
良好な結果が得られた作型と比較し、施肥量を増減した理由を残すことで、次回の管理へ活用できます。
複数圃場を管理する場合は、圃場ごとの施肥履歴を分けて管理します。
肥料利用効率の改善
窒素施肥管理では、投入した窒素のうち、どの程度が作物の収量や品質へ利用されたかを考えることが重要です。
分施、適期施肥、局所施肥、かん水調整、植物体測定などにより、窒素利用効率を高められる場合があります。
肥料使用量を減らすことだけでなく、収量と品質を維持しながら無駄を減らすことが目的です。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、植物体の硝酸態窒素などの測定結果を利用した窒素施肥管理について、対象作物、栽培方法、測定頻度、記録項目などの条件を確認して検討します。
施肥履歴、生育、収量、品質との比較や、栽培試験データの管理についても、必要な運用を確認して対応できる場合があります。
よくある質問
Q. 窒素肥料は多いほど収量が増えますか?
A. 一定量を超えると収量が増えず、徒長、品質低下、環境流出などにつながる場合があります。
Q. 基肥と追肥はどのように分けますか?
A. 作物の初期生育と、その後の吸収時期を考慮し、生育途中で不足しないよう分けて施用します。
Q. 植物体の測定だけで施肥量を決められますか?
A. 重要な判断材料ですが、土壌、根、天候、かん水、生育なども併せて確認します。
Q. 硝酸態窒素は雨で流れますか?
A. 水とともに移動しやすいため、多量の降雨やかん水で根域外へ流亡する可能性があります。
Q. 窒素施肥の記録には何を残しますか?
A. 肥料名、施用量、窒素成分量、日時、圃場、作物、生育段階などを記録します。
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過剰施肥とは、作物が必要とする量や土壌が保持できる量を超えて、肥料を施用することです。肥料不足を避けようとして多めに施した場合や、土壌・植物に肥料成分が残っている状態で慣例的な追肥を続けた場合に発生します。
肥料を多く与えても、すべてが収量や品質の向上につながるわけではありません。作物が吸収できない肥料は、土壌へ蓄積したり、水とともに流出したりします。また、作物の生育バランスを崩す原因になる場合があります。
過剰施肥が発生する主な原因
- 不足を避けるために毎回多めに施肥する
- 土壌分析や植物体測定を行わない
- 複数の肥料から同じ成分を重複して施用する
- 有機物から供給される養分を考慮しない
- 液肥濃度や混入倍率を間違える
- 施肥機やポンプの設定が正しくない
- 生育が遅い時期にも通常量を施用する
- 降雨やかん水による肥料移動を正しく把握できていない
肥料製品の使用量だけでなく、窒素、リン酸、カリウムなどの成分量で管理することが重要です。
窒素の過剰施肥
窒素を過剰に施用すると、茎葉が必要以上に成長する徒長や過繁茂が起こることがあります。
葉が大きく濃い緑色になる一方、茎が軟弱になる、花芽形成や着果が遅れる、果実品質が低下するなどの影響が現れる場合があります。
日照不足や低温で生育が低下している時期は、吸収した硝酸態窒素を十分に利用できず、植物体内へ蓄積する可能性があります。
作物に現れる主な影響
- 茎葉が伸びすぎる
- 節間が長くなる
- 茎や組織が軟弱になる
- 病害虫の影響を受けやすくなる
- 開花、着果、成熟が遅れる
- 果実の糖度や品質が低下する
- 葉菜類などに硝酸成分が蓄積する
- 根の生育が抑えられる
症状は作物や生育段階によって異なります。葉色が濃いだけで過剰施肥と判断せず、植物体測定や土壌分析と組み合わせます。
濃度障害と根への影響
土壌や培養液中の肥料濃度が高くなると、根が水を吸収しにくくなることがあります。土壌水の浸透圧が高くなり、土壌に水分があっても作物がしおれる場合があります。
肥料が局所的に高濃度で接触すると、根が傷み、根先の変色や枯死が起こる可能性があります。
根傷みが進むと、肥料成分が多く存在していても吸収できず、地上部に欠乏症状のような状態が現れることがあります。
土壌への塩類集積
施設栽培では、雨による洗い流しが少ないため、施用した肥料成分が土壌へ蓄積しやすくなります。
肥料成分が蓄積すると、土壌のECが上昇し、根の吸水や生育へ影響します。特定の成分だけが多くなると、他の養分吸収を妨げる拮抗作用が起こる場合もあります。
土壌分析やEC測定によって、肥料成分の蓄積状態を定期的に確認します。
環境への影響
作物が吸収できなかった硝酸態窒素は、水とともに土壌の深い部分へ移動し、地下水へ到達する可能性があります。
養液栽培や施設栽培では、排液に肥料成分が残ったまま施設外へ排出される場合があります。
過剰施肥を抑えることは、肥料費の削減だけでなく、水環境への負荷を減らすことにもつながります。
過剰施肥を確認する方法
植物体の測定
葉色、クロロフィル、硝酸態窒素などを測定します。良好な作型の基準値より高い状態が続く場合は、施肥量を見直します。
土壌分析
硝酸態窒素、EC、pH、交換性塩基などを確認します。土壌に十分な養分が残っている場合は、基肥や追肥を減らせる可能性があります。
培養液・排液の測定
培養液と排液のEC、pH、硝酸態窒素などを比較します。排液に多くの肥料成分が残っている場合、供給過多の可能性があります。
生育と収量の確認
茎径、節間、葉色、開花、着果、収量、品質を確認します。肥料を増やしても収量が増えていない場合は、過剰施肥を疑います。
液肥濃度の管理
液肥を使用する場合は、原液の濃度、希釈倍率、ポンプ設定、施用液量を確認します。
同じ肥料濃度でも、かん水量が増えると作物へ供給する肥料成分の総量も増えます。
施用成分量は、概念的に次のように考えます。
施用成分量=肥料成分濃度×施用液量
濃度だけでなく、1日または一定期間に供給した総量で管理します。
過剰施肥が疑われる場合の対応
まず、追加施肥を停止または減量し、植物体、土壌、培養液の状態を確認します。
土壌中の塩類濃度が高い場合は、排水条件を確認したうえで、かん水によって肥料成分を洗い流す方法が検討されることがあります。ただし、排液による環境負荷や根傷みに注意が必要です。
養液栽培では、培養液を調整・交換する、原液混入量を減らすなどの対応を行います。
不足を恐れて肥料を増やすリスク
目に見える欠乏症状が出てから対応することを避けるため、予防的に多く施肥する場合があります。しかし、過剰状態では肥料を追加しても改善せず、別の問題を引き起こします。
測定値と生育を定期的に確認し、小さな調整を繰り返す方が、過剰と不足の両方を防ぎやすくなります。
分施による対策
必要量を一度に施用せず、生育に合わせて複数回に分ける方法を分施と呼びます。
分施により、作物が吸収できない肥料が一時的に多く残ることを防ぎやすくなります。降雨による流亡リスクも抑えられる場合があります。
ただし、施肥回数が増えるため、作業性や施肥設備も考慮します。
測定データを使った予防
植物体の硝酸態窒素を継続して測定すると、外観に症状が現れる前に窒素状態の変化を把握できる場合があります。
施肥量、測定値、生育、収量を関連付け、良好な結果が得られた範囲を確認します。
測定値が高い状態で慣例的な追肥を行わないよう、施肥前に測定する運用を設けます。
過剰施肥と肥料利用効率
投入した肥料のうち、作物に利用されない割合が増えると、肥料利用効率が低下します。
過剰施肥を抑え、必要な時期に必要な量を施用することで、同じ収量を少ない肥料で得られる可能性があります。
単純に肥料を減らすのではなく、収量と品質を確認しながら適正量へ近づけます。
記録管理
肥料名、施用量、成分量、施用日時、圃場、作物、生育段階を記録します。複数の肥料を使用する場合は、成分ごとに合計します。
植物体測定、土壌分析、収量、品質も併せて記録し、肥料量を減らした場合の影響を確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、植物体の硝酸態窒素などを測定し、過剰施肥の可能性を確認する運用について、対象作物、測定部位、測定頻度などの条件を確認して検討します。
測定履歴、施肥量、生育、収量、品質を関連付けたデータ管理についても、必要な項目を確認して対応できる場合があります。
よくある質問
Q. 肥料を多く与えれば収量も増えますか?
A. 作物が必要とする量を超えると、収量が増えず、徒長、品質低下、環境流出などにつながる場合があります。
Q. 葉色が濃ければ過剰施肥ですか?
A. 可能性はありますが、品種、葉齢、日照などでも変化します。植物体測定や土壌分析と併せて判断します。
Q. ECが高い場合は肥料過多ですか?
A. 肥料成分の蓄積が考えられますが、塩類の種類や土壌水分も影響します。詳しい分析と併せて確認します。
Q. 過剰施肥になったら水で流せばよいですか?
A. 条件によっては洗い流す方法がありますが、根傷み、排水、環境流出を考慮して行う必要があります。
Q. 過剰施肥を防ぐにはいつ測定しますか?
A. 追肥前や生育段階の節目に測定し、現在の栄養状態を確認してから施肥を判断する方法が有効です。
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肥料利用効率とは、施用した肥料成分のうち、どの程度が作物の生育、収量、品質に利用されたかを表す考え方です。少ない肥料で必要な収量や品質を確保できるほど、肥料利用効率が高いと評価できます。
施用した肥料のすべてを作物が吸収するわけではありません。一部は土壌へ残留し、一部は水とともに流亡し、窒素成分の一部は気体として失われる場合があります。
肥料利用効率を高めることは、肥料費の削減、収量の安定、地下水や排液への養分流出低減につながります。
肥料が作物に利用されるまで
肥料は、土壌や培養液中で水に溶け、根の近くまで移動します。その後、根から吸収され、植物体内で葉、茎、果実などの形成に利用されます。
肥料成分が利用されるまでには、次の条件が関係します。
- 根の量と活性
- 土壌水分
- 地温と気温
- 土壌pH
- 酸素状態
- 肥料の形態
- 施肥位置
- 施肥時期
- 他の養分とのバランス
肥料が土壌中に十分存在していても、根傷みや低温によって吸収できない場合は、利用効率が低下します。
肥料利用効率の表し方
肥料利用効率には複数の評価方法があります。目的に応じて、肥料吸収量、収量、施肥量などを用います。
施肥窒素回収率
施用した窒素のうち、作物がどの程度吸収したかを表します。概念的には次のように求めます。
施肥窒素回収率=(施肥区の窒素吸収量-無施肥区の窒素吸収量)÷窒素施肥量×100
土壌から供給された窒素分を差し引き、肥料由来の窒素吸収量を評価します。
肥料当たりの収量
施肥量に対してどの程度の収量が得られたかを評価します。
肥料当たり収量=収量÷肥料成分施用量
計算しやすい指標ですが、土壌肥沃度や天候の影響も含まれます。
追加施肥による増収効果
肥料を施用したことで、無施肥の場合よりどの程度収量が増えたかを評価します。
増収効率=(施肥区の収量-無施肥区の収量)÷肥料成分施用量
栽培試験で施肥効果を比較するときに利用されます。
肥料利用効率が低下する主な原因
- 作物の吸収量を超える過剰施肥
- 生育初期に肥料を一度に多く施用する
- 降雨や過剰かん水による流亡
- 根域から離れた位置への施肥
- 低温や過湿による根の活性低下
- 土壌pHが適正範囲から外れている
- 肥料成分のバランスが悪い
- 施肥機や液肥混入装置の設定不良
- 病害や根傷みによる吸収不良
肥料量だけでなく、根が吸収できる環境を整えることが重要です。
分施による改善
肥料を一度に全量施用せず、作物の生育に合わせて複数回に分ける方法を分施と呼びます。
作物が必要とする時期に少量ずつ供給することで、土壌中へ未利用の肥料が多く残ることを防ぎやすくなります。
特に水とともに移動しやすい硝酸態窒素では、多量の一括施肥より分施が有効な場合があります。
適期施肥
同じ施肥量でも、作物の吸収が少ない時期に施用すると利用効率が低下します。
生育が活発になり、根の吸収量が増える時期に合わせて施肥することで、肥料を作物へ利用させやすくなります。
日照不足、低温、過湿などで生育が低下している場合は、通常どおり施肥せず、植物体や土壌の状態を確認します。
施肥位置の影響
肥料を根から遠い位置へ施用すると、作物が利用するまでに時間がかかり、流亡や固定が起こる可能性があります。
根の発達位置に合わせた局所施肥や条施肥により、肥料を根へ届きやすくできます。
ただし、根の近くへ高濃度で施用すると濃度障害を起こす可能性があるため、肥料濃度と位置を調整します。
かん水管理との関係
肥料成分は、土壌水に溶けて根へ移動します。水分が不足すると肥料成分が移動しにくくなり、多すぎると根域外へ流れます。
液肥を使用する場合は、肥料濃度だけでなく、施用液量と排液量を管理します。
培養液と排液の成分濃度を比較すると、供給した肥料がどの程度利用されずに残っているかを確認できます。
植物体測定による改善
植物体の硝酸態窒素、葉色、クロロフィルなどを測定すると、作物が肥料を吸収した結果を確認できます。
測定値が高い状態で追加施肥を行わないことで、過剰施肥を防ぎやすくなります。低い場合も、根や土壌の状態を確認してから追肥します。
施肥前後の測定値を比較することで、施肥に対する作物の反応を確認できます。
土壌診断による改善
土壌中に肥料成分が残っている場合は、次作の基肥量を減らせる可能性があります。
土壌分析では、硝酸態窒素、リン酸、カリウム、EC、pHなどを確認します。有機物から供給される養分も考慮します。
毎作同じ量を施用するのではなく、土壌残存量に応じて調整します。
収量だけで評価しない理由
肥料利用効率を収量だけで評価すると、品質低下や環境負荷を見落とす場合があります。
窒素を増やして収量がわずかに増えても、果実糖度や保存性が低下し、排液中の硝酸態窒素が増えれば、総合的な効率は高いとは限りません。
収量、品質、肥料費、作業時間、環境への流出を併せて評価します。
肥料使用量を減らすときの注意点
肥料利用効率の改善は、単純に肥料を大幅に減らすことではありません。必要量を下回ると、収量や品質が低下します。
少量ずつ段階的に減らし、植物体測定、生育、収量を比較します。圃場の一部で試験を行い、慣行区と比較する方法もあります。
良好な結果を確認してから、対象面積を広げます。
栽培試験による評価
異なる施肥量や施肥時期を設定した試験区を設け、測定値、収量、品質を比較します。
例えば、慣行施肥量、10%削減、20%削減などの区を設定し、生育への影響を確認します。
試験では、施肥条件以外の品種、定植日、かん水などを可能な範囲でそろえます。複数年のデータを蓄積すると、天候による影響も評価しやすくなります。
データ管理
肥料利用効率を評価するには、肥料製品量ではなく、窒素などの成分量を記録します。
併せて、植物体測定、土壌分析、かん水量、排液、収量、品質を保存します。
施肥条件別のグラフや一覧を作成すると、肥料を増減したときの結果を比較しやすくなります。
肥料価格への対応
肥料利用効率を高めれば、収量や品質を維持しながら肥料使用量を減らし、肥料価格の上昇による影響を抑えられる可能性があります。
ただし、測定や施肥作業にかかる費用も含め、栽培全体の費用対効果を確認します。
ハカルプラスの対応
ハカルプラスでは、植物体の硝酸態窒素などの測定値を利用し、施肥量と収量・品質の関係を確認する栽培試験について、対象作物、測定条件、記録項目などを確認して検討します。
施肥量、測定履歴、生育、収量などを関連付け、肥料利用効率を比較するデータ管理についても、必要な運用を確認して対応できる場合があります。
よくある質問
Q. 肥料利用効率が高いとはどういう状態ですか?
A. 必要な収量や品質を維持しながら、施用した肥料の多くを作物が有効に利用している状態です。
Q. 肥料を減らせば利用効率は必ず上がりますか?
A. 施肥量が不足して収量が低下すると、効率が改善しない場合があります。収量と品質を併せて評価します。
Q. 肥料利用効率を改善する方法は何ですか?
A. 分施、適期施肥、施肥位置の調整、かん水管理、植物体測定、土壌診断などがあります。
Q. 植物体測定は肥料利用効率の改善に使えますか?
A. 作物の栄養状態を確認し、不要な追肥を抑えるための判断材料として活用できます。
Q. 肥料利用効率を比較するには何を記録しますか?
A. 肥料成分量、植物体測定値、土壌、収量、品質、かん水量などを条件ごとに記録します。